反省
最近ね、なんかやけに腹を立てているんだわね。というか、何かを書こうとすると、どうしても腹の立つことを徹底的にやっつけたくなってしまうわけさ。するとね、いきおい文章を書き殴るということになる。さするとまた、やけに「バカ」とか「頭が悪い」とか、そういうことばかり書き連ねることになる。
よくないね。
たとえ私的な文章でも、そのトーンはやがて私生活を覆うようになるもん。
30歳になったときにね、こういう事態を予測していたフシがありましてね、「このままではオレは憤ってばかりいるじいさまになってしまうだろう」と感じて、ならばそれを先取りしていまのうちに怒っていれば穏やかな老後が暮らせるかもしれないと、75歳の怒っている男を主人公にした1000枚の小説を構想したんだけど、200枚で挫折しました。このまま書いていたら3000枚になってしまいそうだと気づいて、めまいがして書き進めなくなった。
題名はね、『クーパーの蝶』というの。かっこいいでしょ。この「クーパーの蝶」の意味自体が1つの大きな謎なわけで、そんでもっていろいろあって人類は滅びるべきだってのが結論の小説。あのころ、だれもそんなこと言ってなかったけど、その数年後にそういう概念が台頭してきて、なるほどね、考えることというのは世界同時多発するもんなんだねえと知った次第。いつかまた、どこかにしまっちゃったそれを引っ張り出してきて(ほら、あのときはまだコンピュータでもワープロでもなく手書きだったわけで)中断した部分からの続きを書きつなごうと思うような日が来るんだろうか。