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April 16, 2004

なんかいやらしい国だなあ

人質の解放が行われて、よかったよかったと思っていたら、自民党議員どもから自己責任論が噴出してるんだそうだ。まったくねえ、こいつら、いったい政府を何様だと思っているんだろう。政府とは、公僕の集まりなんだぜ。自国民を保護・救出するのが義務なんだ。下僕なのよ。それがなにを偉そうに、「政府のいうことを聞いてないからこうなった」だなどと、まるで政府が「日本」であるかのような物言いを。

これじゃ全体主義国家ではないかよ。大政翼賛、国家主義。そういう基本的なことも分らんのが政治をやっているということだ。

おまけに小泉まで「3人の解放について「大変難しい交渉だった。関係者や関係国に協力・支援いただき、感謝している」と語った。」(朝日・コム)だと。政府は本当に交渉したのか? その交渉が功を奏して解放されたのか? 違うだろうが。逆でしょ。

逢沢はアンマンだかで指くわえてなにもできなかったわけでしょう? 日本政府はこの解放にはむしろ抵抗勢力として働いたわけだよ。それがまるで自分が解放させたかのように。なんだよ、それって。日本政府の今回の自衛隊派遣が本来の友好的な日本像を逆転させて3人の拉致・誘拐を誘ったわけだ。謝るのは3人ではなく日本政府ではないのかね。

イラク復興支援の活動には別の路がたくさんあった。なのにそれを検討することもなく対米追随の路を選んだ。だからこうなった。猛省すべきは3人ではなく小泉政権だ。そんなことも分らんで論理をすり替えてまるで自分の手柄のように、居丈高に3人を叱責するアホどもがうじょうじょしてる。卑しい、さもしい、とんでもない国だ。本質を押さえないでシレッとして権力的に振る舞うとは、まったく、つくづく、なんとも馬鹿げて怒り心頭なのである。これだもの、いじめや嫌がらせがはびこるわけだよ。あー、腹が立つ。

April 15, 2004

帰米しました

昨夕、NYに帰宅しました。今回、初めてノースウエストに乗ったんだけど、ありゃ、すごいね。フライトアテンダントのおばさんたちなんか、自分の家でお洗濯してる最中にちょっと駆けつけたって感じの仕事ぶり。髪は輪ゴムでひっつめただけ、化粧はしてない、かろうじて制服ゴトキものは着ているが、何日続けて着ているのってな感じ。うーん、この割り切り方は見事というか見物というか。

えー、先日の二丁目での同性婚に関するお話会はけっこう人が集まって楽しかったね。お集りの皆さん、ありがとうござんした。その日の昼まで缶詰めだったものだからぜんぜん用意が悪くてちょっと恐縮。わしも上記ノースウエストのお洗濯おばさんみたいだったかも。

さてと、日本にいるときにどっかの新聞で、イラクの人質3人の実家に嫌がらせ電話が殺到しているという報道を見ました。それと、あの女性のホームページもひどい書き込みで閉鎖に追いやられたとか。そういうのはどこの国でもあることなのでそれ自体はそういうもんかなと思うけど、でも、この「量」はどこの国にもあるものではありません。

わたし、「よってたかって」というのがいちばん嫌です。人間のさもしさと卑しさと、それに対する自覚のなさとが重なって、本来そこにある以上の、さらにものすごく邪悪なものが新たにそこに生まれます。どんなに嫌なものでも、それに対してそれに見合う権力以上に大きな力でよってたかって責めて(攻めて)いったら、わたしはそれに対する「嫌さ」よりも、寄ってたかってそうすることの「嫌さ」のほうが嫌です。というか、「寄ってたかって」という言葉自体、力の差を前提としているのだから、そもそも「嫌さ」をあらかじめ含んでいるわけだけどね。

イラクの人質のことをいえば、「(復興支援は国がやっているのに)自分で進んでそういう危険なところに行ったのだから自業自得だ」というのが嫌がらせを言う人たちの背景になっている意見のようです。というか、こういうのってなんでもそうなんだけど、まず結論が先に出てくるのね。この場合で言えば「こいつら、自業自得じゃん」ってうの。そんでもって、そこから理由を考えていろいろ後付けする。もちろん、「なんでこんなこと(わざわざイラクなんかに行ってボランティア活動なんか)するのか、わけわからない」っていうのとか、「そういうのって自己満足でしょ」とか、「善行とかって、偽善じゃないの」とか、「難しいこと考えて自分でみんな背負っちゃってるような気になってるのって、勝手にやれば」とかっていう心象がまずあるわけ。それから、理由付けが行われる。そういう手順なのね、往々にして。

まあ、それはそれでわからなくもない。しかしさ、じつは「日本」っていう国のイメージは、「国」「外務省」がやっている以上に、外国の人にとってはこうした民間外交の善意(あるいは悪意)によって形作られていることが多いのです。外務省ってね、外国に大使館とか領事館とかおいていますが、あんまり仕事しないの。というか、一般レベルで言うとほとんど仕事してない。一般の人々に日本を発信するということは、ほとんどがNGOとかの民間外交が担っているわけです。それ以外にも、留学生とか、企業の駐在員とかね。そういうところでの個人的なつながりが外国人にとっての日本を形作っている。ですから、イラクでも、自衛隊が行けばいいというもんではなくて、その周辺にいろんなレベルでの民間の日本人がいて初めて「日本」という国家像ができてくるわけ。それは、日本でアメリカのこととか考えても同じでしょ。アメリカ大使館の活動なんか知らないけど、二丁目の外人バーならわかる、ってこと。

それをさ、「よけいなことしやがって、それで人質になってるんだから自業自得」ってのはさ、批判のスジ、外してるのよ。よけいなこと、なんかじゃなく、むしろ彼らこそが「日本」なの。それを助けずして、誰を助けるの? 自国民を見殺しにする国家は、はっきりいって、国家であることの体を成さないのです。「日本」を見殺しにする日本「政府」って、何よ、ということなのです。

この倒錯にのっかって、嫌がらせ電話をかけたりするなよなあ。それって、二重の意味でビョーキです。

April 09, 2004

いま日本

もう、渋谷のホテルに缶詰状態で働かされてます。
今週末には終わる予定。しかし、日曜には二丁目でお話し会をやらねばならない。テーマは米国の同性婚の行方。話すこと、なにも用意してないのですが。さて、どうなるか。

それよりも、あのイラクの3人。
政府は「それがテロリストの思うつぼなんですよ」って言うけど、ちょっと待てよ、あれって、そもそも「テロリスト」なのかね? あの連中をああいう行動に駆り立てたのは米国であり、それに追随した日本政府だわな。すると、方法論としてはテロリストの手口なんだが、そうさせたのは世界のコンセンサスもイラクのコンセンサスも無視して突っ走ったブッシュの生んだ「敵意」なんではないか? おまけにあのモスクの破壊だ。パンドラの箱を開けておいて、「(3人殺害予告のような)こういうことをやるのはけしからん」と言うのは、本末転倒なのではないか? おれがイラク人だったら、ぜったいに反米闘争に参加していたと思うもん。

イラクの現状はすでにテロではない。あれはゲリラ戦なんだ。ゲリラ戦が続いているところに世界の市民が出かけていっている。そこで起きた事件だ。

そう前提を立て替えてみると、自衛隊は撤退すべきなの。そもそもいくべきところではなかったのだから。
イラク復興に協力したいなら、撤退後に態勢立て直して再結集すべき。たとえそれに何億円かかろうとも、ね。