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June 27, 2004

Happy Pride!

けっこう今年は人が多かったですね。浴衣を着て歩くのも今年で4年目かな。日本人のプレゼンスを示すには、まあ、われらもそれなりの貢献をしてるとは思うけど、でも、実際のLGBTってのはわれらがグループにはあまりいなくてね。多くはうちのパーティーの常連の女の子たち。まあ、いっか。日本人くらいだよなあ、ニューヨークでもあんまりこういう場所に出てこないのは。なんか、「日本」というものに欠陥があるのかしら。「プライドに出てこないからといって欠陥ではないだろ」ってのはもちろん知った上でですが、ことはプライドに限った話ではないからさ。ゲイであろうがなかろうがそんなのとは関係なく、このプレゼンスの示し方の短絡性、あるいは幼児性、あるいは引き籠り。関係性を重要視しないところに可能性を見出すとしたら、それはいったいどんな可能性なんだろう。

アメリカってのは嫌なところもたくさんあるけど、こういう、物事が機能していく、あるいは物事を機能させる力ってのかね、パレードとか、イベントとか、ある種の仕事でもそうなんだろうけど、そういうのってすごいですわ。だれかさんが七面倒くさいことごたごた考えてる間に、プラグマティックといいますか、こっちはどんどん行動しちゃってるといいますか、まあ、行動すりゃいいってわけじゃないのはブッシュの例を見ればアタボウですが、行動しないでぐちょぐちょ言ってばかりいるってのもみっともなくて、要は動いてこそ浮かぶ思いもあれ、ってなことで、バランス。あとは換気のよさね。

アメリカの真似をしちゃほとんどで厄介ごとまで引き受けることになってしまうでしょうからそれはやめた方がよろしいのは当然。しかし物事を機能させるその仕組みというのだけでも、どうにか日本も取り入れられないのかなあ。

でもね、こういうのってホウレン草と同じでね、葉っぱの部分が好きだから茎のところを切り捨てて葉っぱだけ売ってちょうだい、とは言えないもんなんだよね。そこが「文化」とか「風土」とかの、一筋縄ではいかないところなんですよね。ま、だから面白いんでもありますが。

あー、歩いたあとはビールがうまい。暑くもなく、本日は最高の天気でした。
東京も札幌も、どうにかうまく機能することを祈ってます。
その努力に敬意を込めて。

June 18, 2004

ゲイゲイ月間

6月はご存じのとおりアメリカはゲイ月間で、テレビでは連日、いちいちタイトルなんかおぼえてられないほどものすごい数のゲイ関連の映画やドキュメンタリーを放送しています。一昨日は橋口さんの「ハッシュ」も字幕でやっていました。こちらでは「料理の鉄人」の中のとてもよく笑うコメンテーターとしてのみ広く知られていた秋野暢子が、あんなふうなちゃんとした女優なんだと知ってみんな驚いてましたね。

ほかにはイスラエルの若い男娼たちのドキュメンタリーとか、オーソドックス・ジューと言われる正統派ユダヤ教徒のゲイのドキュメンタリーとか、ゲイポルノ男優をしてるストレート男に恋しちゃったゲイの男の物語とか、メジャー、マイナーひっくるめ、おそらくいろんな映画祭で好評を博した映画なんでしょうね、そういうのが目白押しで、なかなか見応えがあって深夜の、本来は仕事をしているべき時間帯についついテレビを見てしまうといった困ったことにもなっています。もうこれは、ゲイとかゲイでないとか、そういうのとはあまり関係ない、いまの世界に関する映画群なんですね。日本でもこういうふうにごそっと見られる機会があるといいのにねえ。BSとかCSのコンテンツ、不足してるんでしょうから、ぽつりぽつりとはいずれリリースされるかもしれませんけど。アメリカでは来春からゲイ専門チャンネルも始まりますが、コンテンツの心配はないみたいですな。

まあ、べつになんという話でもないですが。

【追記】そういえばひと月ほど前に書いた例のアルカイダ関連の日本での逮捕劇、つぎのようなクリップを見つけました。やっぱり「大山鳴動ネズミ一匹も出ず」みたいで、アルカイダなんかとはまったく関係ない「違法行為を隠す目的で虚偽の会社登記をしていた」という最初の逮捕容疑自体もでたらめで、フルに勾留延長をつけた上で釈放されてたんだ。だがでもしかし、なんと再逮捕なのね。まったく、今度の逮捕容疑も難くせに近い。いったい、何を調べたいんでしょう、警視庁公安は。これ以上何も出てこないってわかってるくせに。ヒムさん、どうみても筋がいいとは思えぬもん。かわいそうにねえ。

ヒム容疑者を再逮捕 入管難民法違反、弟ら経営会社で働かす

 国際テロ組織アルカーイダ傘下組織幹部の日本潜伏事件で、警視庁公安部は十六日、入管難民法違反(不法就労助長)の疑いで、電話機器販売会社「リョウインターナショナル」経営、イスラム・モハメッド・ヒム容疑者(三三)=バングラデシュ国籍=を再逮捕した。
 公安部はヒム容疑者とアルカーイダなどのイスラム過激派テロ組織との関係についても追及する。
 調べでは、ヒム容疑者は密入国した弟のファイシャル・アフメド被告(二六)=入管難民法違反罪で起訴=ら不法滞在中のバングラデシュ人二人を事務員として同社で働かせていた疑い。
 ヒム容疑者は虚偽の会社登記をしたとして先月二十六日、電磁的公正証書原本不実記録容疑で神奈川県警に逮捕されていたが、横浜地検は十六日、「違法行為を隠す目的で虚偽の会社登記をしていたことなどの裏付けが得られなかった」として、処分保留のまま釈放した。

June 17, 2004

怖い

 なんだか、こんなバカみたいな詭弁というものを久しぶりに見た思いがします。多国籍軍に参加すると言ったその首相の発言を法的に支えるために、多国籍軍の「統一された指揮権」という英語の「unified command」というのを「統合された司令部」って訳したのです。
 いわく、「(自衛隊は)多国籍軍の中で活動するが、わが国の指揮に従い、統合された司令部の指揮下に入ることはない」。あら、「参加」という言葉もなくなってしまいました。
 しかし「ユニファイド・コマンド」を「統合された司令部」ってやるのは、ものすごい力技です。なぜなら、逆に、統合された司令部というのを英語になおそうと思ったら、それは「united headquarters」という英語になってしまって、ぜったいに「unified command」とはならない。

 ユニファイというのは、いろいろあるものをいろいろあるまま1つに「束ねる」ことではなくて、合金みたいにして混ぜ合わせて1つに「しちゃう」ことなのです。
 それからコマンドですが、これは第一義的には「命令すること、指揮すること」であって、それから「指揮権、司令権」という抽象概念につながっています。ここから「司令部」という意味が派生するのはその先の、もっと派生した先でやっと辿り着く語義であって、いわば比喩なんです。とてもじゃないが、軍事用語に比喩を使っちゃいけない。使ってよいのはそれが熟した言葉になっているときだけです。つまり、慣用的に使い込まれて熟語として存在しているときだけです。そんなの、わたしでもわかるような誤訳を日本政府たるもの、知らないはずがない。

 これは、嘘をついているということです。国民に説明するときに嘘をついている。そしてそれを恥じない。だいたい、軍というものは参加したら統一した指揮で動くのです。それとは別に独自の指揮権を持っている、というのは、それは参加ではない。多国籍軍とは協調しながら行動しているが、別の指揮権のもとで行動している、つまり、別の組織である、ということです。なんで、それじゃいけないのでしょうか。なぜに、多国籍軍に参加する、といわなければならないのでしょうか。そのへんを、小泉は説明していません。嘘をついたまま、訳の分からないことを言って通そうとする。何なのか、これは。

 権力が、こういうことをやる。ブッシュ政権も同じように嘘をつきますが、しかしそれはアルカイダがイラクとつながっていたというような、なかなか証明の難しいところを勝手に政治的に言いきってしまうという種類の嘘であって、事実はねじ曲げているが、こういう、だれの目にも明らかな論理のねじ曲げではない。

 わたしは、これまで自民党政府にバカだバカだと文句ばかり言ってきましたが、最近は、正直言って、この日本の政府が怖い。バカですが、こいつら、本当はバカじゃありません。権力を持つ限り、バカはバカじゃないのです。中川とか麻生とか安倍とか石原とか、こういうことをいけしゃあしゃあとやる権力は、マジな話、他にどんなことでもやるんじゃないかと思います。「こういうこと」、とは、わたしたちを、ないがしろにしてよいと思っていることです。論理が通じないということは論理じゃないことをやってくるということです。いままでの論理の集大成である「法」が通じない。法が通じないということは、わたしたちがこの政府と話をする道筋を失うということです。それは何か。それは、超法規的なファシズムです。大政翼賛会です。怖いな、こりゃ。
 イラクの、あの3人のバッシングあたりからでしょうか。政府が、個人を真っ向から攻撃して得意げになっている。政府要人が国民個人を攻撃するコメントを発する、ということは、よほどの重大犯罪人に向けたものでない限り、かつて例がなかったことです。それはいつわたしたちに向かってくるかわかりません。なにせ、論理じゃないのだから。

 ヤバいなあ。
 ブッシュをつぶす。
 小泉自民党を牽制するには、そのドミノ効果しかないのでしょうか。
 まずいね、日本は。