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August 26, 2004

日本にいます

父の七回忌ということで一時帰国しました。が、今夏はじつは母から弟への生体膵臓移植が行われて、その予後でふたりともまだ千葉で入院中で、まだ札幌へは帰っていません。来週早々にも退院できる母といっしょに帰郷予定なんですが、弟の具合があまり良くなく、それもまだわかりません。

そんなわけで、七回忌のセレモニーは延期中です。まあ、うちはぜんぜんセレモニーに無関心なのでべつにどうでもいいんですけど。

昨日、見舞いの帰りに金子由香利のゴールデンベストってアルバム買いました。
アポリネールのミラボー橋なんかも入っていて、いいなあ、このおばさま。

August 18, 2004

久しぶりに小説を書きあげた

今年になって2月から単身赴任状態になっているので、なんとなく書きはじめた小説がちんたらちんたら書いたり休んだりして半年かかってとうとう最後までいった。80枚ちょっとの短篇だけど。こんなにストレス感じずに書いたのは、ストレス感じたらそのままずっとほったらかして書かなかったからだろね。いやあ、これなら楽だ。まあ、職業小説家の書き方ではない。あんなのは20代すぎたら私の場合、社会人の生活できなくなって無理だったもんね。

できたてのほやほやでまだ書いた頭も書かれた字面も熱くていいもんだかわるいもんだかわからん状態ではあるけど、ま、なんとなく、宿便を落としたって感じは昔のとおり。

冷めてからもういっかい手を入れ直して、ぼくのもっとも信頼する友人の2人に読んでもらいたいんだが、そのうちのひとりはいま鬱でさ、こいつは21のときに某文学新人賞を取ったやつなんすけどね、読んでもらっていいもんかどうか。

なんせ、わしの書くもんと来たらせつないもんばっかりだからなあ。ふむ。ま、いっか。

続々報 マグリービー

NJ州知事のセックススキャンダルをめぐる報道はいまも続いています。いろいろ読んでいますが、これはやっぱり、彼はすぐにでも辞任すべきだと思いますね。ゲイであることでどんなに大目に見ても、これはぜったいにやってはならないことをしたのですから。

やってはならないこととはゲイセックスのことでもないし、婚外セックスのことでもありません(マグリービーの弁解辞任声明ではこれがあたかも辞任理由のさらにその遠因のように扱われていますが)。彼は、自分のセックス相手を(たとえそれが“真剣”な恋愛だったにしても)自分の率いる州政府の重要ポストに就けた。いや、そのポストというのがその人物がまさに適任でたまたま自分のセックス相手だったというならまだしも、そうではまったくなかった。イスラエル国籍の詩人を、ほとんど治安行政など経験したこともないのに州の治安行政のトップに据えた。それはそのポストが州知事の任命ポストで、議会の承認の要らない肩書きだったからというふうにしか考えられない人事です。これは間違ったことです。しかも税金で彼を雇っていることになる。これは横領、背任に等しい。刑事訴追されてもおかしくないことです。

前回のブルシット以降にわかったことは、ゴラン・シペル氏、知事側の話ではどうも知事の辞任会見の前に5000万ドル(55億円)を要求したらしいということ。そんなもの払えないと突っぱねたら最終的にそれが500万ドルまで下がったらしいこと。しかし、その代わりに知事はNJにユダヤ系の医科大学を誘致するという条件を受け入れるように迫られたらしい。この背景には、シペル氏の背後にいるやはりユダヤ系の開発ブローカーがいて(彼は州政府から退職したシペル氏を自分の会社の広報担当に雇い入れて年収3万ドルを給与を与えていた人物です。また、マグリービー知事の選挙陣営の資金源でもあったらしい)、その事業を後押しする意味があったらしいことです。

これに対し、シペル氏はマグリービー知事の辞任会見後、取材陣を避けるようにイスラエルに帰国しました。そこで「自分はゲイではない」「知事には恒常的に殴られて脅されていた」と話しているようです。まあ、これこそ傍目には「ブルシット」的な発言ではありますが、セックスや金が絡むとどんなことでも起き得るので、マグリービー氏がそういう婚外での私生活で暴力的である可能性というのもないわけではない。「ゲイでない」というのには笑っちゃうしかないですけど。
まあしかし、それは2人の関係の中の問題であって、第3者である州民や有権者や、はたまた私のような他人には関係ないことです。ですから、そんなことを“明かし”ても、公的にはブルシットなわけでね。

マグリービー知事は11月15日まで辞めないとしていましたが、しかし共和党はもちろん、僚友の民主党の中からも辞任要求の声が出てきています。3カ月もなんで居残るのか、その理由が明らかでない。いや、それ以前だと選挙になってしまうからというのは、あまりにも理由にならない理由ですから。

事は大統領選挙に影響しそうな様相をも呈してきています。
こんなところで民主党の名を汚してはいけない、という、民主党支持者からの気運も高まっているようです。ここは辞めるしか道はないでしょう。

もっとも、知事への支持率はあのゲイ・アメリカンのカムアウト記者会見以後、2ポイント上昇したそう。まずは同情が先にあったのでしょうね。知事が辞任する理由としても、最新の世論調査では「ゲイだから辞めなければならない」「婚外セックスをしたから辞めなければならない」という人たちは10%前後の少数で、大半が「州の行政ポストを恣意的に利用したから」と、有権者たちはきちんと見極めて冷静に判断しているようです。

マグリービーさんには、そのことをもういちど清算してもらわなくてはならないでしょう。そのためにも、11月までその職に恋々とするというみっともなさは、避けなければならないでしょう。

August 14, 2004

続報詳報マグリービー

詳細は後ほど、と言いながら飯を食いに出てしまってここに書く時間を先延ばしにしていましたが、週末を利用してお知らせしましょう。つまりこういうことだったようです。

マグレービー知事は2002年にとつぜん、イスラエル人の詩人、ゴラン・シペル氏なる人物をNJ州のホームランドセキュリティー・タスクフォースの長官に据えました。これはいわば州政府の治安部門のトップの役職であり、テロ対策で騒いでいるいまの社会情勢ではとても重要なポストです。年収は11万ドル。1200万円くらいですか。

でも、治安対策員に、イスラエル人? しかも詩人? 議会の承認を必要としないで知事の特権で任命したこの人事に、当然議会は疑問を差し挟みます。しかもシペル氏、これまで治安対策の経歴などお持ちじゃなかった。それにこういう役職に外国人が就く場合には連邦政府のバックグラウンドチェックも必要です。それもしていなかった。いったい何なんだ、ということで騒がれて、知事もこの人事を翻し、シペル氏は今度はさして仕事もない「相談役」になりました。でも、給料は同じ。これで収まるはずもなく、結局はその年のうちに州政府を離れることになります。

マグリービー知事がシペル氏に出会ったのは2000年のイスラエル旅行のときだったといいます。それで米国に連れ帰った。ふむ。40代半ばの隠した恋はそれほどまでに強かったのでしょう。(シペル氏はうーん、一言でいうと色白、かわいい感じかな。30代だろうなあ、まだ)。

マグリービー知事というのは笑顔さわやか、民主党の次世代ホープとして期待されていた人です。二回結婚して、それぞれの妻との間に娘が1人ずついます。「I am a gay American」の例の記者会見はなんと全米放送されましたが、となりにはその2番目の奥さんが(なぜか最初はにこにこして)立っていました。知事の背後にはご両親も立っていました。

「自分のアイデンティティをめぐってこれまでの人生、ずっと悩んできた」と会見では話しました。彼は47歳です。こんなにゲイライツが取りざたされるアメリカの現在でも、カムアウトは難しい。それは彼の世代、生きてきた時代にも一因はあるでしょう。それにカトリックでもあるし、いちぶの若い人たちのように軽々とは行かないのかもしれません。さらに政治の世界というのも人気商売ですからカムアウトができづらいのかもしれません。まあ、米国にはゲイであることもあって当選している議員たちも何人かいることは確かですが。
 スポーツの世界も同じですね。いまだ現役の野球選手もフットボール選手もアイスホッケー選手もバスケット選手も、つまりアメリカの四大スポーツの中で現役中にカムアウトしたアスリートはいません。ゲイはいないんだ、なんて信じているやつはいないにもかかわらず。

でも、カムアウトしないからこういうことになっちゃうのですよね。
カムアウトしないから脅しの対象になるのです。

もっとも、今回は、「ゲイであること」で辞任したのではありません。
結婚しているのに他の男性と(合意の上ながらも)性交渉を持った。それは結婚の取り決めに反した行為だった、というのがマグリービー知事の説明です。そうして、この相手側が数百万ドル(数億円)の現金を要求してきた。こうしたことが自分の知事としての統治能力によくない影響を与える。それはニュージャージー州のためにならない。だから辞任することが正しい道だと判断した。そういう論理です。

でも、元々オープンなゲイだったら、つまりカムアウトしていたら結婚もしていなかったかもしれないし、脅しの形態もおそらくは違っていたでしょう。

クリントン時代に、それまで同性愛者では就職できなかった米国の情報部門職が同性愛者にも門戸を開放しました。ホモセクシュアルだとわかると脅迫の対象になってスパイには向かない、秘密情報を扱う職にも向かない、ということだったのですが、同性愛者がおおやけに生活できるようになって(というか、すくなくとも建前上はそうであろうとしていることによって)、ゲイネスはすでに脅迫の材料ではなくなったという判断が基にあります。

アメリカではこの知事のカムアウト会見がメディアの恰好のネタとなって、アテネ五輪の開幕もかすんでしまいました。会見で名指しされることはなかったにしろ、言われっぱなしのシペル氏側も昨日、代理人の弁護士が声明文を読み上げ「この米国で最も力のある政治家の1人であるマグリービー知事によって私は長いことセクハラに苦しめられてきた」と反撃に出ています。自分で金を要求したのではない、知事側が金の支払いを持ちかけてきて、そのまま消えてくれるように依頼してきたのだ、とも言っています。まだセクハラ損害賠償訴訟は起こしてはいません。「時間が教えてくれるだろう」というのが訴訟に関する代理人の便です。

ところでこのシペル氏がゲイなのかどうなのか、性的関係は合意の下だったのかどうなのか、その声明文では明らかにはなりませんでした。まあ、クローゼットの内部でのこと、どんなことでもあったのだろうと考えるのが普通ですが、世論はなんとなくマグリービー知事の説明の方を買いたがっているような気はします。もっとも、共和党の方は即刻いま辞任しろと迫っていますが。というのも、いま辞任すれば残り任期の関係で選挙になるのですが、会見で発表したように11月15日(の辞任)まで知事を続けるとそのまま州上院議長の民主党議員が知事代行になるのです。11月には大統領選挙もあるので、政治の駆け引きはこんなところでも続いています。

ところで、知事の辞任カムアウト会見でも、これから結婚はどうなるのか、知事を辞めてどうするのか、そうして最も肝心なこと、これから、ゲイの政治家としていまいちど政界に復帰する気があるのかどうか、がわかっていません。

遅咲き40代のゲイはルサンチマンを抱えていますから一旦カムアウトしたら強いと思います。ぜひゲイのアドボケットとして復活してほしいものです。なにせ、彼はNJ州知事では同性婚には反対だと言っていたんです。もうそんなことは言ってほしくありませんものね。

August 12, 2004

いやあ、たまげたね

ニュージャージーの州知事ジェイムズ・マグリービーがさっき、「わたしはゲイだ」って会見で声明を発表しちゃった。ひゃー、結婚もしてるんだけど、「もう嘘を生きるのをやめにすべき時だ」だってさ。久々の大物カムアウト。

というかどうも、セックススキャンダルになりそうだったらしいなあ。そんで知事も辞めるとか。なるほどね。
ゲイはいいけど、隠れでどうも側近と性的交渉を持っていたらしい。だからクローゼットはろくなことにならんのだわ。とほほ。
詳細は後ほど。