続々報 マグリービー
NJ州知事のセックススキャンダルをめぐる報道はいまも続いています。いろいろ読んでいますが、これはやっぱり、彼はすぐにでも辞任すべきだと思いますね。ゲイであることでどんなに大目に見ても、これはぜったいにやってはならないことをしたのですから。
やってはならないこととはゲイセックスのことでもないし、婚外セックスのことでもありません(マグリービーの弁解辞任声明ではこれがあたかも辞任理由のさらにその遠因のように扱われていますが)。彼は、自分のセックス相手を(たとえそれが“真剣”な恋愛だったにしても)自分の率いる州政府の重要ポストに就けた。いや、そのポストというのがその人物がまさに適任でたまたま自分のセックス相手だったというならまだしも、そうではまったくなかった。イスラエル国籍の詩人を、ほとんど治安行政など経験したこともないのに州の治安行政のトップに据えた。それはそのポストが州知事の任命ポストで、議会の承認の要らない肩書きだったからというふうにしか考えられない人事です。これは間違ったことです。しかも税金で彼を雇っていることになる。これは横領、背任に等しい。刑事訴追されてもおかしくないことです。
前回のブルシット以降にわかったことは、ゴラン・シペル氏、知事側の話ではどうも知事の辞任会見の前に5000万ドル(55億円)を要求したらしいということ。そんなもの払えないと突っぱねたら最終的にそれが500万ドルまで下がったらしいこと。しかし、その代わりに知事はNJにユダヤ系の医科大学を誘致するという条件を受け入れるように迫られたらしい。この背景には、シペル氏の背後にいるやはりユダヤ系の開発ブローカーがいて(彼は州政府から退職したシペル氏を自分の会社の広報担当に雇い入れて年収3万ドルを給与を与えていた人物です。また、マグリービー知事の選挙陣営の資金源でもあったらしい)、その事業を後押しする意味があったらしいことです。
これに対し、シペル氏はマグリービー知事の辞任会見後、取材陣を避けるようにイスラエルに帰国しました。そこで「自分はゲイではない」「知事には恒常的に殴られて脅されていた」と話しているようです。まあ、これこそ傍目には「ブルシット」的な発言ではありますが、セックスや金が絡むとどんなことでも起き得るので、マグリービー氏がそういう婚外での私生活で暴力的である可能性というのもないわけではない。「ゲイでない」というのには笑っちゃうしかないですけど。
まあしかし、それは2人の関係の中の問題であって、第3者である州民や有権者や、はたまた私のような他人には関係ないことです。ですから、そんなことを“明かし”ても、公的にはブルシットなわけでね。
マグリービー知事は11月15日まで辞めないとしていましたが、しかし共和党はもちろん、僚友の民主党の中からも辞任要求の声が出てきています。3カ月もなんで居残るのか、その理由が明らかでない。いや、それ以前だと選挙になってしまうからというのは、あまりにも理由にならない理由ですから。
事は大統領選挙に影響しそうな様相をも呈してきています。
こんなところで民主党の名を汚してはいけない、という、民主党支持者からの気運も高まっているようです。ここは辞めるしか道はないでしょう。
もっとも、知事への支持率はあのゲイ・アメリカンのカムアウト記者会見以後、2ポイント上昇したそう。まずは同情が先にあったのでしょうね。知事が辞任する理由としても、最新の世論調査では「ゲイだから辞めなければならない」「婚外セックスをしたから辞めなければならない」という人たちは10%前後の少数で、大半が「州の行政ポストを恣意的に利用したから」と、有権者たちはきちんと見極めて冷静に判断しているようです。
マグリービーさんには、そのことをもういちど清算してもらわなくてはならないでしょう。そのためにも、11月までその職に恋々とするというみっともなさは、避けなければならないでしょう。