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September 29, 2004

ハルジオン

日本から買って帰ってきた英田大輔「ハルジオン」(リトルモア刊)読了。

この人、20代のほんとの初めから触ると痛いゲイ小説を「バディ」に発表していて、その当初からあややと思ってた。文章のリズムがいいんだ。このリズム感はもちろん学び得た部分もあるんだろうが天性だろうな。そうじゃなきゃ書けない。書く言葉も吉田修一なんかよりずっとうまい、というかヒリヒリしている。読み進みながら、ときおり吉原幸子の詩を思い出しちゃった。

「新しい言葉」が好きだね。わたしも、同性愛者よりも異性愛者のあり方のほうに関心が移っているので、こんな小説書かれると、やられたなあって思っちゃいました。「新しい言葉」ね。せつないなあ、このタイトル、というかキーワードも。目のつけどころだなあ。
それにしても、この本が出たのがほぼ2年前でしょ。ということはつまり、これ自体、2000年ごろの作品でしょう。いやはや。まいりました。

収録三編はたしかにいずれもゲイの置かれた状況という点で2000年前後までの時代性を感じさせますが、英田さんはことし30歳。
彼の下の世代に「ぼせ」さんという20代半ばでゲイ小説を書く人もいるのだけれど、また違うんですね、作品との距離感が。まあ、年齢の差だけではないのでしょうが、英田さんにはぼせさんの小説にはある(というか彼の小説に特徴的な)心地よい「ゆるさ」というのがない。くそっ、きついんだよ、ってな感じ。

英田さんのその後の近作をぜひ読みたいですなあ。どうしたら読めるんだろうか。金を払う価値はあります。

ちなみに、2篇目の「光彩」で、「呟く」が「眩く」と数カ所誤植のママなのが気になりました。この人、バディで掲載されてたときも誤植や行落ちが多くてかわいそうだったなあ。テラ出版、その罪滅ぼしで彼のバディ時代の短篇をぜんぶまとめて本にしてくれないかなあ。2000円で買うぞ、おれは。

あ〜あ、睡眠障害が続いている。
時差ボケともいうが。

September 28, 2004

ちょっと冷たい

薔薇族廃刊に関して、あんな冷たい言い方はないかもしれませんね。
伊藤文学にシンパシーはないけど、でも、おつかれさまとは言うべきだった。
ごめんなさい。
おつかれさまでした。

苦労もあったはずだし、そういう文脈でしか考えられない時代が確かにあったのだよな。

ああ、こころがささくれだっていると書くものまでささくれだつ。
何のために年を取っているんだか。
なさけない。

さてさて

最低の九月が過ぎようとしている。
もうぐちゃぐちゃ。早く過去形になってくれりゃいいと思いつづけるような。

帰米一週間。時差ぼけ、いまだ。おまけに某局の2時間ドラマ台本の英訳を突貫で依頼され、ほとんど眠れず。

さっき、弟から携帯メールが届いた。
点滴が外れたとのこと。腎臓がへたって、透析まで始めていたのだが、そっちもあと2日くらいやれば終了と言われたようで、体調もよいらしい。ひとまず安心。でも、日本で初めての手術なんで、担当医も次がどうなるか、どうなったら何なのかがわからないらしく、いちいちアメリカの大学病院に問い合わせるような進み具合。予断はゆるさないんだわね。

神無月。
神など信じないが、いるならいるで赦してやろうね。

さて、書き込みをしないうちにいろんなことがやはり起きるもので、世界はわたしの個人的事情などおかまいなしに進んでいく。そんなもんだ。

「薔薇族」が廃刊とか。
センチメントとしては、日本のゲイコミュニティーはマーケットの気概としてさえも、こういう老舗雑誌を支え切れないほどにノンシャランなのかね、という倦怠感。
でもさ、ビジネスというのはセンチメントとは次元を別にして考えなくちゃね。
「薔薇族」路線というのは、なんというんでしょうかね、自己憐憫と黴臭さと僻目みたいな生来の目つきが、この時代、ダメだったんでしょ。そういうのは寺山修司の時代には新しかったでしょうが、そういう時代の産物なんだと思う。

前者のセンチメントは、むしろ、MLMやアドンの南さんとか、ファビュラスの東ちゃんには持ったけど、伊藤文学には持てないな。

ビジネスと言えばライブドアである。(強引)

三木谷社長の楽天に決まるんだろうなあ。
ライブドアの堀江社長を「おれも知らんような」といった御仁の新聞社のサイトから「食」のところをクリックすると、自動的に食材購入のサイトは「楽天」になります。ま、そういうことじゃないだろうけど、トヨタとか三井住友とかを援軍に加えるなど、両義的な意味で「後塵を拝しながら」というのがじいさん連中に脅威ではなく映っているのでしょうね。だいたい、堀江社長に会わないながらもその慇懃さを保っているところが、あ、こりゃ後ろで話がついてるね、ってなにおいがプンプンしますね。

堀江社長つぶしは、ありゃ、世代闘争です。プラス、組織内抗争。ばかみたい。堀江社長、それを知ってるから、ものすごくカッカしてるんでしょうね、ここ数日。かわいそうに。
堀江社長、こんなことでつぶれるなよ! っておれが言ってもしょうがないが、カッカもする必要もない。ダメ元でやるのは嫌いな人なんでしょうが、今回のじいさん連中にはそう構えるしかない。あいつら、だいたい、会社員なんですね。わたしも昔、野球チームを持つ新聞社の会社員でしたから球団社長にどんな人がなるのかは知っていますが、堀江社長みたいな人がいちばん怖いわけですよ。というか、邪魔。偉いさんに睨まれないようにせっせせっせとass-kisserであったような連中が、本社のスジでは無理だったけど、やっと球団社長に横滑りさせてもらったわけです。その既得権を、どうして堀江社長のような風雲児に掻き乱されたいか。いろいろ、これまで経営者側に非難がましいコメントもしちゃってたしね。

その意味で、三木谷社長ならすこしは安心。というか、ぜったいナベツネとも後ろでつながってますね。だから堀江社長とも話をしない。

出来レースだよなあ。
じゃあ、堀江社長、ダイエーに肩入れして共同球団経営に持ってけば? って、そんな話でもないか。

というわけで、So much for today.