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プロのジャーナリストの皆さんへ

バディの新しい号が届きました。
DVDも付いていて、これで1500円というのは安いかもしれませんね。レインボウマーチのクリップだけでなくちゃんとポルノも入っていて、きちんと買うとこういうのは日本じゃもっとするでしょうに。ふむ。メディアミックスというわけですか。企業努力でしょうね。

その中でいつも読んでいる伏見君のコラムで、コミックやフィクションの(当事者の)フリーの書き手は育ってきている,「大きく水準が上がってきている」、にもかからず、ノンフィクションが弱い、ということが載っていました。

まさにそのとおりなのです。
わたしもその分野にいるのでわかるのですが、その理由は、おそらく伏見君もノンフィクション、というかルポルタージュにトライしたことがあるからわかっていると思うのですが、あれはカネがかかるのです。おそらく、ひとえにそれが理由です。

小説とかコミックは、あれは1人でできる作業です(違う人もいますが、基本的に、ということで)。夜、ひとりで書くことができる。
しかし、ルポルタージュは、昼に作業をしなくてはならない。いろんな人に会って、その人の時間をもらい、そうして、信頼をも勝ち取って、さらにそれがどういうように形になって世に出るのかということまでを折伏して、そうして初めて作業を進めることができる。これは大変な労力です。インタビューをただまとめるのとはまたちがう。生活のほとんどをかけなくてはできないのです。

そうやって時間と労力と、つまりはひいてはお金とをつぎ込んで、しかも、ジャーナリズムの訓練もきびしく積んでいなくてはならない、という場合、これは、個人の努力ではなかなか難しい。小説を書くのとは次元が違うのです。もちろん、フィクションとノンフィクションの、どっちの次元がすごいというものではなく、たんに物理的に違うのです。それがいまのマーケットで、コストパフォーマンスからいってどちらが有利なのか、という、たんにその違いなのではないか、と思うのです。小説は、自分の経験からいっても、気が楽なんだ(精神の消耗の仕方が違うという意味で)。

伏見君は産經新聞の宮田くんのことを引き合いに出していますが、ぶっちゃけた話、エイズ関連でずっと彼が第一線でやってこれたのも、あれは産經新聞に勤めていたからです(宮ちゃん、言わせてね)。彼も何度もフリーになろうとした。しかし、それはできなかった。フリーになってエイズのことだけを追っていては食っていけないし、そればかりかエイズの記事を載せてくれる媒体すら見つからない、という現実があります。だからこそ彼は産經新聞内で頑張ってくれているのです。

それは、社会の問題です。つまりは、マーケットの問題です。ノンフィクション分野の成育ほど、社会の様相を反映しているものはないのではないかとおもいます。ジャーナリズムの国、アメリカですら、LGBT関連のノンフィクションは、ジャーナリズムは、他の分野に遅れて最後に形成されたのです。

ではどうすれば育つのか。
それは、フリーランスではかなり難しい。
そのフリーランスの土壌を開くためにも、もうそろそろ、メディア内部のGLBTをまとめあげる時なのかもしれません。ずっと考えていたことなんですが。
いや、なにをすべきというのではなく、まずはニュースレターなどを回して、緩やかなネットワークを形成する。さてさらにそのあとに、どうするか。

いまアメリカのLGBTのニュースメディアは、ジャーナリズムのプロの集合体であるブロッグ形式でのニュース投稿をやりはじめています。この大統領選挙の前後では特にブロッグへの移行が目立ちました。

ただしネットの落とし穴は、みんなが発信者になってしまって、どれが信頼のおける情報なのかわからなくなっているということです。デマですら体裁の良いニュース記事の顔を装うことができる。ブロッグでもそうです。

そういうときに、プロのメディアの連中がメンバーとして自分なりにニュースソースを咀嚼して責任をもってブロッグ投稿する、そういう掲示板的なサイトが必要かもしれません。
そこから何が生まれるかは、わかりません。
でも、何かが生まれるかもしれない。
さて、それをそろそろやってみましょうか?

これを読んで下さっているプロのジャーナリストの皆さん、フリーランス、あるいは企業内記者の方、自分の仕事の空いている時間に、LGBT関連のニュースを自分の取材範囲の中から取り上げ、どこかに発表・投稿したいと思っている方々、わたしまでまずはメールでご連絡いただけませんか。

そういう方が、10人、あるいは20人くらいになったら、そういうプロのジャーナリズムのブロッグ板を立ち上げるというのはどうでしょう。

私も忙しいですが、どうにか事務局を立ち上げたいと思います。
参加してもよいとおっしゃる方、わたしまでメールで連絡ください。
まずは参加者のリストを作ってみます。とりあえずはネットワークです。
わたしのメールは
yuji_kitamaru@mac.com

ここに、ご自身の名前(本名の他、ハンドルでも,あるいは両方でももちろん結構です)、所属報道機関名、またそこでの経歴、経験年数(ご年齢でも結構)、あるいはフリーランスならばどういう分野でどういうお仕事をなさって来たかということ、ご住所,電話番号、メールアドレス、さらにはどういう分野でのLGBT関連の報道に興味があるかということ、あるいはご要望、ご意見などを添えて、メールいただけませんか?

ネットワーク内でも、情報は開示してよいもの以外は開示いたしません(わたしだけが知っているということになりますが)。

さて、この提案は、どこまで届くでしょうか。
ご検討ください。

北丸雄二拝

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