尾辻さんの軌跡
テレ朝が6日、大阪府議、尾辻さんのカムアウトの軌跡を朝のワイドショー『スーパーモーニング』の一コマとして(はかなり丁寧に)取り上げています。
この下のリンクで飛んで見られますよ。
まずは見てください。
http://dp23055276.lolipop.jp/tv.htm(現在もうリンク切れ)
さて、そこで敢えて苦言を呈します。
1)「性的指向自体は疾病ではない」って、意味不明でしょう。テロップにもフリップにもして2回も強調しているのですが、「性的指向」というのは異性愛というのも含まれているんだからさ。はしなくも、どうも他人事です。自分は含まれていないってことですから。
2)「ドメスティックパートナーシップ制度」を、結婚との比較で「名前の違いで、法的にはまったく同じ」と物知り顔のコメンテーター(だれ? ディレクターかな=後にどっかの弁護士と判明しました。TVによく出ている人のようです)が話してますが、「ほぼ同じ」と言うべきでしょう。養子がとれるかどうか、や、外国での扱いなどがまったく違うのですからね。
3)アメリカではカリフォルニア州などがドメスティックパートナーシップ制度を認めている、とフリップで紹介していたけれど、マサチューセッツ州の同性婚制度があるのですから、それをそのフリップの上段、「同性婚を認めているところ」にオランダやベルギー、スペイン、カナダと並べて含めるべきでしたね。
つまり、これらのことは、誤報なのです。ふつうの新聞記事やテレビニュースなら訂正を出さなくてはならないところです。
とても丁寧に、バランスよく取り上げていたことは評価しますが間違いはいけません。「でも、せっかくとりあげてくれたんだし」という問題とはまったく関係ありません。これは「間違いは報道ではゆるされない」という鉄則を外した、というふうに考えるべきです。プロとはそういうものです。これなら、「はい、とてもよく調べましたね」と褒められて喜んでいる学生レベルのリポートであって、プロのやることではありません。
つまり、これほどまでに肝入りで取り組みながら、そこらすらもクリアできないという一般レベルでの知的惨状がはからずも浮き彫りにされているのですね。鳥越俊太郎さんが一言も発していないのは賢明と言わねばならないでしょう。知らないことはしゃべらない。こういう問題で知ったかぶりはできない。そういう判断だったのだろうと思います。
このビデオでいちばんよかったのは、尾辻さんのカムアウトに対して街の声でいちばん多かったのが「まあいいんじゃないですか」「べつにいいんじゃないですか」「ひと、好き嫌いはあるし」とかいうコメントだった、というところでした。それを「他人に対する無関心」としての「受容」ではないのかと示唆しているのです。
これだよ。ここだよね。
この部分こそ、コメンテーターが引き取ってなにかを言うべき勘所だったのに。鳥越さん、ここくらいはなんか言ってよ、って感じでした。だれも引き取らなかった。
でも、尾辻さん、相変わらずかわいかったな。かっこかわいいというのは、彼女のことをいうんだ。こんな彼女を、次の府議選挙がどう扱うのか、「まあいいんじゃないですか」は、票にはならないですからね。彼女を泣かしたくないとつよく思う。