ホリデーズ・グリーティング
「人事部社員行事担当のキャシーからこんな社内メールが回ってきた」というジョークがクリスマス前にニューヨークで流行りました。
「お知らせします。今年のわが社のクリスマスパーティーは12月23日正午から近くのグリルハウスで個室を借り切って行います。バーも用意してます。バンドもキャロルを演奏しますのでみんなで歌いましょう。部長がサンタの格好で現れてもびっくりしないで。ツリーの点灯は1時。みなさんで10ドル以内のプレゼントを交換しましょう──キャシー」というのが1通目のメールでした。
で、2通目になると「昨日のメールは別に非クリスチャンを無視したものではありません。ハヌカ(ユダヤの祭り)やクワンザ(アフリカ系の祭り)ももちろん祝いましょう。で、クリスマスではなくホリデーパーティーとします。ごめんなさい。キャロルとツリーも中止します──キャシー」。
さらに3通目。「労組の方からプレゼント交換の10ドルは高過ぎるといわれ、逆に上層部からは10ドルは安いといわれたので、プレゼント交換は取りやめにします──キャシー」。
さらに4通目。「気づかなかったのですが今年は12月20日からイスラム教の断食月ラマダンだそうです。日中は飲食は一切だめだそうで、でもパーティーはやるので、夕方まで食事を出さないか、食事は各自、袋に包んでもらって持ち帰りにするか検討中です。さらにゲイの社員の方からはみんな同じテーブルに座りたいとの要請があったので調整中です。ダイエット中の社員用には低脂肪の食品を用意します。糖尿病の方のデザートは果物を用意します。グリルハウスは低カロリー甘味料は使用しないとのことなので注意してください。あと何か忘れたことあったかしら???──キャシー」
これで終わりではありません。結局こうなりました。
「何なのよ、菜食主義者って! グリルハウスでやるって決めたのよ! 肉料理でしょう、グリルって! サラダバーがあるからそれを喰ってりゃいいじゃないの! オルガニックかって? そんなの知るか! ええ? トマトも感情を持ってるだって? 切るときに悲鳴をあげる? 上げてろ、バカ。あんたを切ってやるよ! あんたの悲鳴が聞きたいよ! あんたらみんな、酔っぱらい運転で帰って事故起こして地獄に堕ちればいいんだああああ!」
最後のメールはキャシーの上司のジョンからでした。「キャシーのいち早い回復を祈っています。ところでホリデーパーティーは中止と決定しました。そのかわり23日は午後から休業で、ただしその分の給料も出すこととします」
そうしてみんなハッピー、というのがオチでした。
それに比べ、バチ当たりなほどに宗教を受け流している日本はなんといい国でしょうね。
ちなみに一部日本の報道で、「アメリカでは最近、クリスマスツリーをホリデーツリーと呼ぶ」というふうにマジに書かれていたりしますが、あれは「こんなことをしてると、クリスマスツリーまでバカみたいにホリデーツリーと呼ぶようになってしまう」という保守派からのジョークです。クリスマスツリーをホリデーツリーと呼んでいるわけではもちろんありません。