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フォード、翻りました

 保守派団体の圧力に屈してゲイ向けメディアからの広告一部撤退を発表した米国フォード・モーターが、10日を経て「ゲイ向けにグループ広告を新規に始める」とのまったく逆の決定を発表しました。ワシントンで、全米のLGBT人権団体のリーダーたちとの交渉を行ったようですね。同様なことは今年、マイクロソフト社のロビー活動でも起きており、まあ、企業もあっちから責められこっちから責められ、大変です。

 フォードが米国の超保守派団体「アメリカンファミリー協会(AFA)」のボイコット運動の訴えを受けてグループ内のジャガーとランドローバーのゲイ向け広告を中止すると発表したのが12月6日。しかし、14日かな、ジョー・レイモン副社長(人事担当)が「ジャガーとランドローバーを含む8ブランド(リンカーン、マーキュリー、ボルボ、マツダ、ダイムラー、アストン・マーチン)のフォード・グループすべての広告としてゲイ向けメディアへの広告をスタートさせる」とLGBT団体に向けて書簡を出したというわけです。同社は今回の決定を企業として性的少数者への反差別の流れを再確認したもの、位置づけているようで。

 フォードはジャガーとランドローバーの広告撤退も今年第3四半期で1億800万ドルの赤字を計上したため、としてAFAの圧力に屈したわけではないことを強調してました。でもこれが全米のメディアで取り上げられて(日本のメディアでも)、ゲイ団体ばかりか世論の反差別の気運をあおる結果になったわけですか。バックラッシュに対するバックラッシュですね。

 レイモン副社長は「重要な消費者すべてに向けてフォードが広告を発していきたいというのは本当。どっち付かずの態度をこれで一掃し、この問題を過去のものとしたい」とコメントしています。

 同様の問題は今年4月から5月にかけて、マイクロソフトがワシントン州のゲイ差別禁止法案に賛成していることをやはり保守派がボイコット運動で攻撃したときにも起きました。MS社は一時は同法案への支持を取りやめるという事態に陥ったんですけど、結局は「多様性を奨励し保護する法案を支持することは適切なこと」(S・ボルマーCEO)として従来の法案賛成の姿勢に立ち戻った経緯があります。

 フォードのゲイ向け広告はプリント部門だけで今年は百万ドル強とそう多くはないんですけど、まあ増加傾向にあって、さらに、例の雑誌「yes」にも書きましたがバイアコム系列の「Logo」チャンネルが開局するなど、LGBT向けの広告チャンスも増えています。

 あ、そうそう、それに「Brokeback Mountain」ね、これ、絶対見てほしいなあ。
 その映画に関しては、また別建てで書きますが、胸がつぶれます。英語、西部とテキサス訛りで半分くらいしか聞き取れませんが。ま、その話も後で。

 ほんじゃまた。

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