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連名で要望を出しましょう

先日の東京LGパレードが、けっきょくどこの新聞でも報道されなかったということを知って、私はすごくショックを受けました。それで、次の内容で東京の報道メディア各社(朝・毎・読・日経・東京・産経・共同・時事、それとテレビ各局)に手紙、まあ、要望書ですね、それを送りたいと思っています。北海道新聞にも送ろうかしら。

この書簡の内容に、連名で名前を載せてくれるひとを募ります。
あなたの名前を貸してください。

肩書き(職業、なるべく具体的な社名)と名前をください。名前を出せないひとは、たとえば職業のほうは本当のものを書いて「TBS社員、何乃誰平(仮名)」とかいうふうにしてください。 パレードの準備委員会だった方、あるいはボランティアをしていた方は、その役付きも表記してください。

お名前は、わたし(yuji_kitamaru@mac.com)宛に、メールでその旨を知らせてください。この要望内容に賛同する方ならどなたでも結構です。
ここのブログのコメント欄でもよかったのですが、このコメント欄、不具合で使えません。
申し訳ない。近々、ブログページ自体を変えますのでお待ちください。

また、みなさん、ここにリンクを張ってこの連名署名への参加者を呼びかけていただけるとうれしいです。

で、書簡の内容です。長文注意。


***
前略 編集局長ならびに社会部長さま

とつぜんお願いの手紙を差し上げる無礼をお赦しください。
私たちは先日8月12日(土)午後に東京・渋谷から新宿にかけて行われた「東京レズビアン&ゲイパレード2006」を準備し、あるいは参加し、あるいは関心を持って見つめていた同性愛者などの性的少数者とそれに寄り添う異性愛者の有志のグループです。今回のこのとつぜんの手紙は、私たちのこの人権パレードが、翌日の新聞各紙あるいはテレビニュースでなにひとつ取り上げられていなかったという事実に少なからぬショックを受けてお出しするものです。

12日当日は、東京はご存じのように激しい雷雨に見舞われ、午後3時から予定していたこのパレードもあわや中止に追い込まれるところでした。しかし中止にすることはどうしてもできませんでした。このパレードは1年近い大変な準備の末に行われる、性的少数者の東京での年に1度の示威行動です。もっとも「示威」といっても、もちろん私たちにはなんの「威力」もありません。私たちがこのパレードで目指しているのは「威」というよりもただただまずは「存在」を世に「示」したいということです。なぜなら私たちは、性的少数者への差別は、性的少数者の実際を知らない、あるいは存在すら知らない、多くの人たちのその無知と偏見から来ているものだと知っているからです。これを正していくには、第一に当事者たちの存在を示すこと以外に方法はないのだろうと考えています。私たちにとって、それは「カムアウト」という言葉で表されています。もちろん、欧米先進国に比べて著しく潜在している差別感を抱える日本社会で、カムアウトすること自体にも大きなリスクが伴います。ですから、このパレードには、取材されて顔が出ては困るという参加者のために例年、「取材および写真撮影不可」という隊列カテゴリーももうけているほどです。

あの激しい雷雨で山手線がスットップしていたこともあり、今年は参加者の減少が予想されました。が、それでも昨年とほぼ同じ2292人が行進し、沿道からの応援やイベント会場の参加者を合わせるとその数は計3800人にもなりました。東京ばかりではなく、この日のために全国から集まってくれた人たちです。中には学校の先生がおり、医師や看護師、ソーシャルワーカーなどのグループもいました。HIV/AIDSの支援団体の人もいれば、会社員も弁護士も会計士もコンピューター技術者もフリーターも学生も、それにメディアで働くゲイやレズビアンも参加してくれました。日本で初めて政治家としてレズビアンであることをカムアウトした尾辻かな子大阪府議会議員や、トランスセクシャルを公言する上川あや世田谷区議会議員も歩きました。事実上の同性婚を法的に保障している英国のロンドン市長ケン・リビングストン氏からは、このイベントは「日本のレズビアンやゲイの方々の貢献をたたえ、目下の課題である人権問題や法的平等を勝ち取るための戦いを知らしめる絶好の契機だ」(Tokyo Pride is a timely opportunity to celebrate the contribution of Japanese lesbian and gay people and to acknowledge their ongoing struggle for human rights and legal equality.)とのメッセージが寄せられました。その他にも多数の欧米の政治家、人権団体代表の方々からメッセージをもらいました。尾辻、上川両氏以外の日本の政治家からは、ありませんでしたが。

ご存じのように、同性愛者など性的少数者の人権問題は宗教問題を絡めながらも現在の先進諸国の最大の政治課題です。にもかかわらず日本では、そのことを議論するどころか口にすることすらも忌避される傾向にあります。新聞で読んでもなにか「遠い海外の話」でしかない。そんな風潮は、もともと「性的なこと」を話題に上らせるのをよしとしないという、日本の文化的背景も一因であろうとは承知しています。さらには議論して衝突することを嫌う社会であるせいでもありましょう。

でも、私たちが「示」したいのは、私たちの「性」の話ではありません。それらもすべて含めた、私たちの「生」のことなのです。そのために私たちは年に1度東京に集まってこのパレードで私たちの命の存在を世間に示したい。それが差別と偏見をなくしていく第一の道だということを、先輩諸国の運動の歴史が示してくれています。だからこそ私たちはリスクを冒しても顔を見せ手を振って公道をパレードしているのです。そうでなくては、欧米での数万人、数十万人規模のゲイ・パレードの説明もつきません。そこに参加する警察官の、消防士の、裁判官や検事や弁護士など法曹界の、政治家の、銀行や会計事務所や一般企業の、ありとあらゆる分野の参加者たちの動機を説明できないのです。

このパレードに先立つ7月に、東京・新木場公園で同性愛者を狙った強盗傷害事件が起きました。
時事通信による配信では次のような事件でした。

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◎同性愛者襲い、現金奪う=「届けないと思った」−高校生ら4人を逮捕・警視庁
 (時事通信社 - 07月27日 14:10)

 同性愛者の男性を襲い、現金を奪ったとして、警視庁城東署は27日までに、強盗傷害容疑で、東京都江東区内の都立高校生(18)ら少年4人を逮捕した。4人は中学時代からの遊び仲間で、調べに対し「同性愛者なら、被害に遭っても警察に届けないと思った」と話しているという。

 調べでは、高校生らは8日午後9時5分ごろ、同区の夢の島総合運動場内の遊歩道で、衣服を着けずに歩いていた板橋区の男性(34)に殴るけるの暴行を加え、現金2万1000円を奪うなどした疑い。男性は全身打撲の重傷を負った。
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この記事の書き方のせいでもありましょうが、このニュースはインターネット上のブログやミクシィというSNSコミュニティ内で「突っ込みどころ満載」と形容され、さんざん面白おかしく取り上げられました。「衣服を着けずに歩いていた」のにどこに「現金2万1000円」を持っていたの? 「衣服を着けずに歩いていた」って、それって犯罪じゃないの? 両方とも犯罪者じゃないの? 「衣服を着けずに歩いていた」って、何をしてたの? どうして被害者が「同性愛者」だって分かったの? あそこはそういう場所なの? というふうに、“異様”な同性愛者たちの“異様な生態”の方に論が進んでいったのです。そうしてこの被害者は、強盗傷害の犯人と同列に、あるいは揶揄の点からはそれ以上に非難されることになった。自業自得、自己責任、というふうにしか発想しないこの本末転倒、ニュースを読む側の倒錯。こうした日本社会の非情の背景にはいったい何があるのでしょう。それをめぐって東京のゲイ・コミュニティでは70人が出席する緊急討論会も行われたほどです。もちろん、それも報道はされませんでしたが。

私たちがなぜ性的少数者への差別の解消を訴えているのか。
それは、性的少数者を差別しない社会は、他のすべての差別や卑下に関しても許さない正しい社会になるだろうと思うからです。日本でこれまでほとんど知的議論の対象になってこなかった性的少数者という存在を理解することは、あるいはとても難しいことかもしれません。それでなくとも日本社会には面白おかしい「ハードゲイ」像とか「おかま」像とかしか表面化していないのに、いったいどうやってそんな固定観念から自由に同性愛者というものを受け入れていくことができるのか。あるいはいまだに同性愛というものを「そっちのセックスのほうが好きだから自分で選んでそうなった」と思っている無知がはびこる中で、どうやって正しい知識を広める機会を持てるのだろうか。私たちの課題はとてつもなく大きく、重たいものです。でも、それを超えて、日本というこの社会をもっと真っ当なものにしたいからこそ、これからもパレードを続けていこうと思っているのです。なぜなら、同性愛者たちにきちんと向き合える社会は、病者や老人や外国人など、いわれなき偏見と差別にうちひしがれているすべての種類の人びとにもきちんと向き合える社会だと信じているからです。

しかし、それを日本でも成功させるには私たちだけの力では足りません。私たちにも、どうしてもメディアの力が必要なのです。欧米でももちろんそうでした。マスメディア各社の力添えがない限り、私たちの3800人のパレードは沿道わずか数十メートルの幅の、延長わずか数キロでしかないその通りすがりの人びとにしか伝わらない。いや、通りすがりの人びとにすら無視されるかもしれないのです。お願いですから力を貸してください。私たちのことを、ワイドショー的な興味本位のものではない、ジャーナリズムの目を通して報道してください。私たちの現在は、人種、宗教、病気、性別、階級、障害、年齢、それら歴史上のすべての差別問題の再現なのです。

どうか、私たちのこの運動にお力添えください。
今後末永く、私たちをジャーナリズムに載せていってください。
性的少数者の問題を長期的に「生」の問題として扱う社内態勢を形作っていただきたいのです。

長文の、一方的なお願いの手紙になりました。
貴重な時間を割いて読んでいただいたことを感謝いたします。

お願いついでにもう一件。
来る9月17日(日)に、札幌中心部でこの種のパレードの第二弾となる「第10回レインボーマーチ札幌」が行われます。紙面の余裕がありましたら、ぜひ取材・報道してみてください。
詳細は「www.rainbowmarch.org/」にあります。

貴社の、ますますのご発展をお祈りいたしております。

不一。

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