安倍晋三と都城がどう関係するか
こういうのはかつて学生運動華やかなりしころは常識だったんですが、いまじゃそうじゃないでしょうね。左翼が元気なころは右翼への警戒と分析が継続していたんですが、いまじゃだれも右翼のことを見張るようなことをしないから、いったい、都城の条例改悪の背景にだれがいるのか、それがどことつながっているのかということがわからず、なんとなく単発の事例として受け取られるような雰囲気もあります。でも、これらはすべて根はつながっているわけで、で、今回は、そういう状況背景のおさらいをすることにしましょう。個別の事象については自分で調べてね。ここでは「流れ」を見ていくということで。
都城市のあの条例が一票差で採択されたとき、いや、それ以前から、この「性別および性的指向にかかわらず」という人権条項に関する一大反対キャンペーンを繰り広げていたのが「世界日報」です。世界日報は、これに限らず、一連のジェンダーフリー施策・教育の反対キャンペーンを2002年あたりから本格化させています。
世界日報というのは「統一協会」(世界基督教統一神霊協会)の機関紙です(表向きは無関係と言っていますがね、だれもそんなブルシットは相手にしてません)。統一協会というのは、ご存知、霊感商法や合同結婚式などで悪名高い国際カルト宗教集団で、欧州では信者とわかると入国制限されている“危険団体”扱いです。創設者は、文鮮明です。
さて、都城のあのジェンダーフリー条例への反対をあおっているのがこの統一協会の日本支部であるというわけですが、この統一協会と深い関係にあるのが「国際勝共連合」です。歴代会長は全員、統一協会員。役員もほとんどが重なります。
この「国際勝共連合」は文鮮明が1968年1月に韓国で立ち上げた反共産主義団体です。同年4月にはあの笹川良一(一日一善のおじいさん、っていってももうわからんかなあ)の別荘に、文鮮明と日本の統一協会会長の久保木修己もやって来て日本の国際勝共連合を作った。で、この久保木が初代会長、さらに名誉会長が笹川良一ということになったわけです。勝共と言えば笹川と仲良しの児玉誉士夫なんていう右翼ブローカーも登場してくる(後のロッキード事件のメンツでもあります)。
さて、当時(70年代〜)の東西冷戦を背景に、この勝共は自民党の支持団体としても成長を続けます。それで、このときの自民党の右派の重鎮がこの勝共に深く関与していくことになる。これがA級戦犯不起訴となり復権していた岸信介だったわけです。
【1974年11月に、統一協会本部で文鮮明と会談する岸信介=右】
岸信介って、日米安保条約の調印批准のときの総理大臣でね、治安維持法の再来と言われた警察職務執行法(警職法)の改定案を出したり(後に撤回)、教職員への勤務評定の導入を強行したりとかなりの全体主義者(ファシスト)で、けっきょくは安保反対闘争の激化(デモの東大生樺美智子圧死事件が引き金でした)で退陣に追い込まれたんですけど、まあ、日本政界の化けもんですわ。
んでもって、この岸が、いわずとしれた安倍晋三の祖父なんですね。もちろん、安倍晋三は岸信介マンセー、です。
おさらい。
つまり「岸信介=国際勝共連合=統一協会」というつながりがいま、「安倍晋三=国際勝共連合=統一協会」に移行しているというわけです。
その証拠が、今年5月13日に福岡マリンメッセで行われた統一協会の合同結婚式に安倍が祝電を打ったという事実です(各新聞のリンクを示したかったんだが、もう4カ月前でリンク切れでした。適当に探せばどっかにあると思いますけど)。おまけに、現在ベストセラーの安倍晋三の(ゴースト本)「美しい国へ」とかっていう本、これ、前述の統一教会会長久保木の「美しい国/日本の使命」って本のパクリなんですわな。題名まで似てるでしょ。こういう情緒的なものいいで誤摩化す(つまりは言語化=論理化を避ける)のが好きなんだなあ、右翼ってのは。「論理じゃない、言葉じゃないんです!」ってのが決まり文句だもんねえ。議論になんか、さいしょからする気がないわけですわ。頭ごなしですから。
で、この自民党=勝共=統一教会という日本右翼の腐れ縁、ファシスト連合が、都城をはじめとするジェンダーリベラリズムにも猛然と牙を剥いているわけです。頭ごなしに「ホモは死ね」ですから。憲法改正、ってのも、ともすると勢いをかって第24条の強化にまでつながるかもしれません。
で、わたしが「日本の現代LGBTコミュニティは、初めて有形の政治権力を相手にすることになるかもしれません」「戦争が始まると覚悟しといたほうがよいかも」と9月4日付けのこのブログで書いた意味が、これですこしはわかると思います。