国民に軍艦を差し向ける政権
案の定、拉致問題は北のテロ支援国家からの指定解除に何の影響も与えないということを、シンゾーは先日の訪米の際にコンディ・ライスから聞いて知っていたそうです。で、ジョージとの首脳会談のときには「どうにかならんですかね」と、どういう口調だったんでしょうかね、ファーストネームの仲で中途半端に親しみを込めたんでしょうか、お頼み申した。で、朝日によればジョージWは「拉致問題を指定解除の前提条件にするよう求めた首相に「考慮に入れる」と語り、法的な処理とは別に政治判断が働く余地も残した。」となっているが、そんなこと、あるんでしょうか。朝日も甘っちょろいこと書くなあ。
先日の、この3つ前のブログ「ワシントン詣でが明かしたもの」でも書きましたが、憲法9条改変もアメリカ側の要請です。「普天間はスケジュールどおりに進める」と沖縄の辺野古に海上自衛隊の軍艦を派遣したのもアメリカの要望に添ったものです。で、ファーアストネームで呼ばれてヤニ下がっているうちにこのざまです。そういえば異常プリオン牛肉輸入禁止解除も、アメリカのご希望どおりの進み具合でしょう。ナメられてる、ナメてないという言い方はマチズムっぽい言い方でいやなんだけどさ、理が通らない、というのは当たっています。
こういう売国的行為、ひごろ猛々しいネット右翼だけでなくホンモノの右翼の連中はさぞ怒り心頭なんだろうと思ったら、どうもわたしにはその動きが見えてこない。なんででしょう?
日本青年社という住吉会系の右翼団体があります。過去、領土問題で先閣諸島の魚釣島に上陸したり、雑誌「噂の真相」を襲撃したりとさすが暴力団つながりの右翼(ってか、右翼団体ってのはみんな広域暴力団の系列団体なのですが)。いまの自民党幹事長の中川秀直が関係を取りざたされて当時の森内閣官房長官を辞任させられたり、こないだ結婚式招待の詐欺で有罪になった有栖川宮なんとかっていうインチキ皇族が名誉総裁だったり、となかなかの胡散臭い人脈でも知られます。んで、新潟の救う会の会長がこの青年社のエラいさんだったりもするわけです。そんでもって、住吉会が覚醒剤や拳銃を入手している先は北朝鮮。そんでシンゾーとかシンタロー(やつらのことを真面目な学生と呼んでる都知事です)とかがこれとどう絡んでくるか。まあ、証拠も持っていないうちになんか書くと真っ赤になって怒って裁判にされたりしますから、くわばらくわばら。
その青年社、首相官邸に街宣車でも繰り出してるんだろうか?
さらにはオピニオン雑誌でかまびすしい文化人右翼たちはどう反応しているのでしょう?
ニューヨークにいて困るのは、新聞に出る週刊誌や月刊誌の見出広告が見られないことです。あれ、けっこう便利なんですよね。新聞のウェブサイトで欠落しているのが新聞広告なわけで。
閑話休題。
今日書きたいのは、横須賀にいた海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が沖縄近海にむけて出港したことです。
沖縄テレビは次のように伝えています。「来週にも行われる調査機器の設置を支援するものと見られています。防衛施設局の事前調査で海上自衛隊が関与するのは極めて異例な事です」
琉球新報によれば、「塩崎長官は、海自を動員するとの一部報道について「方針を決めたとはまだ聞いていない。一般論で言えば、反対運動や反対行為を排除しようという任務は、警察、海上保安庁が負っており、自衛隊は負っていない。報道として不正確な話ではないか」と述べ、県警や海保とともに警備に加わるわけではないとの認識を示した」だそうです。
沖縄タイムズでは「艦船にはゴムボートやボンベが積載されているが、海自が実際に調査で対応するかどうかは不透明だ」と書かれています。
では、なんのために行くのか?
これは反対派市民の威力業務妨害、公務執行妨害をあらかじめ想定しての、それらを恫喝するだけの大いなる国威の見せつけるために他なりません。「反対運動や反対行為を排除しようという任務」は実際にはしない、しかし、軍艦の威容を見せつけ、反対派に大いなる心理的プレッシャーを与えるにじゅうぶんな効果を持つでしょう。
同じく沖縄タイムズ。
「仲井真弘多知事は十一日、「自衛隊との関係がまずまずの状況になってきている中で、県民感情を考えると、あまり好ましいとは思わない。(反対派の)排除というのは自衛隊の役目ではないと思っている。誤解を生むようなことはなるべく避けた方がいいのでは」と否定的な見解を示した。」
国軍が本来守るべき国民に対峙するという事態が起きる場合、歴史上それはほとんどの場合で、その国家の、あるいはそのときの政権の倒錯的な末期症状を象徴します。あの60年安保の大抗議デモが国会周辺で繰り広げられたときに、それこそアベシンゾーの祖父である岸信介が自衛隊の治安出動を要請したことがありますが、そのときですら当時の赤城防衛庁長官が出動を拒否した。
さて、アベはまたそろりと何食わぬ顔で、退陣に追い込まれた岸信介の仇を討つつもりです。この2人が、いずれもアメリカがらみで軍事政策の変換に取り組むというのもあまりにあからさますぎてえげつないことこの上ありません。ネット右翼たちも瀕死の小田実の悪口を書いてるヒマがあるのにどれが焦眉の急か考える時間がないという情けなさ。いや、ないのは時間じゃないのでしょうな。