転載「最後のお願い」
日本では、投票日はもう明日ですか。
選挙のことを書くと、「こういうのは選挙違反になる」「自分のブログに特定候補の応援を公然と書いている。公選法で逮捕されてしまえ」という、いったい、こいつは全体主義の標榜者かというようなとんちんかんを書き連ねる輩が最近、とても増えているような気がします。まあ、ウェブサイトの発信の容易性の為せる業なんでしょうが、どうしてこういう、自分で自分の首を絞めるのが好きな連中がいるんだろうなあ。気づいていないんでしょうね。
基本は、個人の名の下に、自由にものが話せる、意見を述べられる。これが近代社会の基本です。だから憲法でも保障されている。それが許されないなら、そういう公選法の方が悪いのです(ってか、今の日本の公選法はそうはなっていないですから問題ないんですけどね)。
さて、私のところに、「最後のお願い」と題した次のようなメールが届きました。
なるほど、とても切実な思いが綴られています。
こういうきちんとしたことを、若い連中が書いてくれるんだなあ。
うれしいなあ。
ということで、ここに転載します。読んでみてやってください。
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「世界が100人の村だったら」にはこう書かれています。
異性愛者は89人います。
同性愛者は11人います。
日本にそんなに同性愛者がいるでしょうか?
誰にもわかりません。
少なくとも100人のうち3人か4人はいるだろう…とは言われています。
「いない」のではなく、きっと「見えない」のです。「ここにいるよ」と言うことができないのです。
アフリカのある国の大統領はこう言いました。
「我が国には同性愛者などいない。いるとしたら、よその国に出て行ってくれ」
そして、いまだに同性愛者だというだけで死刑になる国が世界に9つもあります。
日本に生まれた同性愛者たちは、そうした国々に比べたらしあわせなのでしょう。
でも、本当に私たちはしあわせでしょうか?
思い出してください。
あなたの周りで、今までにどれだけのゲイやレズビアンの友達が亡くなりましたか?
日本でいちばん多い死因は、ガンや心筋梗塞です。
でも、私たちの周りの友人たちは、同性愛者として生きて行ける自信がなくなって自殺してしまったり、エイズを発症したり、そうやって亡くなっていく方がなんと多かったことか…
日本は先進国一の自殺大国ですが、それでも年間に自殺で亡くなるのは100人あたり0.024人です。
今年の3月、ゲイの学生さんが自殺で亡くなりました。夢を抱いて生きてるはずの学生さんが…胸が痛みます。
今もなんと多くの方が、未来に希望が持てず、命を絶っていることでしょう。
日本は、私たちの社会は、まだまだ同性愛者が生きやすいとはとても言いがたいのではないでしょうか。
今は陽気に(GAY)暮らしている私たち。でも、どんなに純粋にパートナーを愛し、長年いっしょに暮らしていても、法律上はただの「友人」ですから、扶養控除もありません。何十年か後、もしパートナーが重病で入院したとき、親族として扱ってくれないばかりか、面会すらさせてもらえないかもしれません。万が一パートナーが亡くなったとき、私たちはお葬式に出られるでしょうか? いっしょに住んでる家を追い出されたり、二人で買った家具などを親戚に持って行かれたりしないでしょうか? 生命保険を受け取れるでしょうか?
私たちは日々、一生懸命働き、税金を収め、社会に貢献しています。にも関わらず、異性愛者が当然のように行使している権利を、何一つ与えられていないのです。
70年代の東郷健さん以来、国政の場に出ようとするオープンな同性愛者はいませんでした。
ようやく今、勇気と明るさと行動的な魅力を持ったレズビアンの政治家が現れました。彼女は、民主党の公認を得て参議院比例区に立候補するやいなや、日本中を席巻し、連日メディアをにぎわせ、同性結婚式を挙げ、同性愛者のイメージを「ケ」から「ハレ」へとSWITCHしてきました。まるでジャンヌダルクのように。なんと晴れやかで美しい革命でしょう!
もし、彼女が当選したら、
同性愛者として生きる意味を見出せなかった全国の同性愛者たちの希望の星となるでしょう。自分のセクシュアリティを呪い、自暴自棄になったり、命を失ったりという悲劇が繰り返されることはもうなくなるでしょう。
もし、彼女が当選したら、
私たちが胸を張って、プライドをもって同性愛者として生きていける時代が訪れるでしょう。街中で手をつなぎ、堂々とデートできるでしょう。
もし、彼女が当選したら、
同性婚(または同性パートナーシップ法)が遠からず実現するでしょう。性同一性障害特例法が誰も予想しなかったスピードで通ったように。
もし、彼女が当選したら、
HIV予防や陽性者支援に対する国家予算がやっと欧米並みになるでしょう(今は何十分の一くらいです)。今でも年に100人以上亡くなっているエイズ患者(異性愛者、同性愛者ともにです)の方もの命を救うだけでなく、HIV陽性者の方々がもっと生き生きと暮らせるようになるでしょう。
もし、彼女が当選しなかったら…
何も変わりません。
それどころか、
安倍晋三は「ジェンダーという言葉は使わないほうがいい」と発言するほどのバックラッシュの旗手であり、教科書から同性カップルに関する記述を削除し、そうやって「美しい国=正しい家族像」を作ろうとしています。
状況は悪くなる一方でしょう。
もし、彼女が当選しなかったら…
政治家だけでなく国全体が「同性愛者は政治的な力を持っていない」と思うことでしょう。
民主党も二度と同性愛者の候補を公認しないでしょう。
この先、同性愛者の国会議員が実現するために、また30年もの時間を要するかもしれません。
志半ばにして逝った、天国にいる私たちの仲間たちの無念さを、どうか忘れないでください。
今、この瞬間、心重ねて、私たちが彼女を応援すること。
お盆に東京で開催されるパレードやレインボー祭りで同性愛者の国会議員の笑顔が全国の仲間たちを勇気づけること。
それが、亡くなった友人や恋人たちへの供養になるでしょう。
私たちはみんな遺族です。
心にそれぞれの遺影を掲げて、この夏、私たちの手で、歴史を変えましょう。