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爆弾武装の“天皇”

言葉が悪いが、「ったく、やりやがったな、赤福め」としか浮かびません。こないだ「不二家や白い恋人とは本質的に違う問題」と指摘したばかりだったのに、じつは同じようにとんでもない事件だった。ニャロメ、ですわ。

こういう問題がどうして報道側に明らかになるかにはいろいろな道筋があります。いずれにしても火のないところに煙は立たずですが、赤福の場合、けっきょく摘発が最後に「余り物の再販、再利用」という疑惑までたどり着くとわかっていて報道側も事前からあおっていたのかどうか。もしそうならそれを読み切れなかった私の甘さですが、まあ、仮にそうだとしてもあのヒステリア状態はルール違反、フライングですけれどね。

さて日本の報道メディアの矛先は今週から少し変わってきました。防衛庁・省の「天皇」の異名もあった守屋武昌前事務次官の、軍需商社とのゴルフ接待癒着へとシフトしてきています。これも赤福同様連日のトップニュース。いまのところ「自衛隊員倫理規定」違反というちっぽけな疑惑ですが、もちろんこんなもので済むほど甘いものではないことは今度は私も知っています。なにせ動いているのはあの東京地検特捜部です。

発端は軍需商社「山田洋行」の元専務が仕事と部下を連れて新しい会社「日本ミライズ」を作ったことのようです。そこで、自衛隊の次期輸送機CXのエンジン契約をその元専務側に取られそうだった山田洋行が、意趣返しとばかりに元専務と守屋の行状を調べ上げた。そうしてリークされたゴルフ癒着。特捜部としてはその後に大規模贈収賄事件という巨悪の摘発を描いていることは間違いありません。

日本の官公庁の怠慢ぶりばかりの目立つ昨今、事件摘発も耐震偽装やライブドアがいまいち尻つぼみでがっかりしたものですが、満を持したかのように東京地検特捜部がこういう動きをするとドキドキしてしまいます。 

さて事件はどう進むのか? まずはその元専務の山田洋行在任中の特別背任という経済事件で入っていくでしょう。そこからがしかしわからない。前次官の国会証人喚問でどんな話が出てくるのかにかかっているからです。爆弾が出てくるのかしらね。まあ、それはないでしょうけど、彼が爆弾を抱えているのは確かです。

なんといっても防衛省の“天皇”なのです。2年をめどに交代するのが普通なのに4年以上も次官職を続けたこの大物官僚と、現大臣でもある石破茂や久間章生、額賀福志郎、瓦力といった防衛族のビッグネームたちが懇ろでなかったと考えるのはあまりにナイーヴでしょう。もちろん守屋の子飼いの防衛庁・省幹部も、です。それらがすべて山田洋行のその専務らとつながるわけであって。

守屋前次官は「組織に迷惑をかけた。組織に話してから説明する」とメディアに話していますが、はて、その落ち着いた顔にはともすると「組織」に伺いを立てる振りをしながら、歴代防衛長官・大臣らの弱みの暴露をちらつかせるような凄みが見えたような見えなかったような……。

前次官の摘発はおそらく避けられないでしょう。しかし彼がどこまで抵抗するか。あるいはどこまで諦めて特捜部に政治家を渡すか。いまきっと永田町と霞ヶ関で熾烈な裏の駆け引きが続いていると思います。

いずれにしてもこれは重大事件です。新テロ対策法なども吹っ飛んでしまうかもしれず、そうなると福田政権の命取りになるかもしれません。その場合は総選挙になる。しばし目が離せない状態が続きそうです。

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