« 人生の目的 | Main | 東京にて② »

東京にて①

寒さも緩んだ午後、連れ合いといっしょに散歩がてら新宿の喫茶店の外でお茶をしていました。そこに地震が来ました。目の前の新しい十数階建てのビルが前後に大きくたわみ、鳥たちが騒がしく鳴きながら青空を飛び交いました。地鳴り、叫び声、窓ガラスの震動。通行中の車が停車し、ビルからは続々と人が出てきて靖国通りの大きな交差点の中央に集まりました。その場のすべてが揺れ、軋み、鳴っていました。とうとう東海・東南海大地震が来たのかと思いました。そのときはまだ震源が宮城沖だとは知りませんでした。その数十分後に、あの津波の第一波が現地を襲おうとしていたことも。

その後の展開はみなさんもご存じの通りです。9・11を体験した人ならばわかるでしょうが、こういうときこそ人びとの善意が輝きます。

計画停電が始まったとき、東電の準備不足と説明の不手際を責める大メディアを尻目に、若者たちはこれをネット上で「ヤシマ作戦」と名付け積極的に節電を呼びかけていました。あの大人気アニメ「新世紀ヱヴァンゲリヲン」で対「使徒」攻撃兵器の電力を集めるため日本中を停電にしたのと同じ作戦名です。自らの不便を捧げる善意の連帯です。

ツイッター上でもこの悲劇の中で起きたささやかな善意のエピソードが多く紹介されています。

▼ディズニーランドではショップのお菓子なども配給された。ちょっと派手目な女子高生たちが必要以上にたくさんもらってて「何だ?」って一瞬思ったけど、その後その子たちが、避難所の子供たちにお菓子を配っていたところ見て感動。子供連れは動けない状況だったから、本当にありがたい心配りだった▼ホームで待ちくたびれていたら、ホームレスの人達が寒いから敷けって段ボールをくれた。いつも私達は横目で流してるのに。あたたかいです▼1階に下りて中部電力から関東に送電が始まってる話をしたら、普段はTVも暖房も明かりもつけっぱなしの父親が何も言わずに率先してコンセントを抜きに行った。少し感動した▼昨日、歩いて帰ろうって決めて甲州街道を西へ向かっていて夜の21時くらいなのに、ビルの前で会社をトイレと休憩所として解放してる所があった。社員さんが大声でその旨を歩く人に伝えていた。感動して泣きそうになった。いや、昨日は緊張してて泣けなかったけど、今思い出してないてる▼避難所でおじいさんが「これからどうなるんだろう」と漏らした時、横にいた高校生ぐらいの男の子が「大丈夫、大人になったら僕らが絶対元に戻します」って背中さすって言ってたらしい。大丈夫、未来あるよ▼韓国人の友達からさっききたメール。「世界唯一の核被爆国。対戦にも負けた。毎年台風がくる。地震だってくる。津波もくる…小さい島国だけど、それでも立ち上がってきたのが日本なんじゃないの。頑張れ頑張れ」ちなみに僕いま泣いてる。

地震後2日間は携帯も固定電話もなかなかつながりませんでした。その一方でツイッターやスカイプは常につながりました。大切な人の消息を知るためにも、ネット接続のできる環境を日本中でいち早く整備すべきだと痛感しています。

そんな中、またまた都知事に立候補した石原慎太郎がこの大震災を天罰だと発言しました。米国のキリスト教原理主義者にもこれとまったく同じ発想をする人たちがいますが、石原こそがこんな人を選んだ都民への天罰のようです。

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://www.kitamaruyuji.com/mt/mt-tb.cgi/631

Post a comment

(If you haven't left a comment here before, you may need to be approved by the site owner before your comment will appear. Until then, it won't appear on the entry. Thanks for waiting.)