エボラ禍で私たちにできること
米国移送の最初のエボラ感染患者がニューヨークの病院から退院する一方で新たに搬送されたシエラレオネの医師が治療の甲斐なくネブラスカ州で死亡するなど、エボラ熱との戦いはまだ続いています。感染爆発の西アフリカでは死者5000人を超えました。
これから始まる新たな社会問題もあります。エボラで死んだ親の子供たちが、感染を恐れる親戚にも見放されて続々
と孤児になっているのだそうです。中でも死者が3000人近いリベリアでは孤児の数も4000-5000人いると見られています。ところが彼らを世話する孤児院がない。
その孤児院を建設しようと、1人の牧師さんがこの夏からニューヨークで資金集めに奮闘しています。首都モンロビアで最大のキリスト教区を持つサミュエル・リーブズ牧師です。
そもそもなぜリベリアで感染被害が多いかというと、リベリアは家族や友人をとても大切にする社会で、道で会っても話をするときでもいつもハグしたりキスしたり手を取り合ったりしているのだそうです。また家族が亡くなるとみんなでその遺体を拭き清める習慣もある。そんな温かい関係がかえってエボラ熱の接触感染を広める仇となったのです。
にもかかわらずエボラの恐怖と社会的スティグマは家族親族の関係を断ち切るほどに強い。私たちも知っているエイズ禍の時と同じです。
リーブズさん自身、9月の故国からの電話で、幼馴染の隣の教区の牧師さんがエボラで急死したという方を受け取りました。国の保険証の担当官と一緒に国内のエボラ患者の支援と救済に飛び回っている最中に自身もエボラに感染してしまったのだそうです。
リーブズ牧師はどうにか孤児たちを引き受ける孤児院を作りたいと奔走しています。全米の教会を回り資金集めに忙殺されていた9月には、幼なじみだった隣の教区の同僚牧師さんがエボラで急死したという電話連絡も受けました。リベリアの厚生省の担当者といっしょに国内各地を回って患者たちの世話をしていて感染したそうです。
リベリアはやっと内戦が終わり民主社会を建設中でした。それがまた壊滅的な打撃を受けています。その立て直しは孤児院の建設から始まると言うリーブズ牧師は、最終的に国内に15の院が必要になると話しています。その第一号の建設地はすでにシエラレオネとの国境沿いに国際支援でできた医療センターと高校施設との共同敷地があるそうです。
資金集めの目標は1000万ドル(10億円)。そこにニューヨークで40年活躍しているジャズマンの中村照夫さんが慈善コンサートで資金集めに協力することになりました。中村さんは日本のジャズ界の大きな賞である南里文雄賞の受賞者で、20年来、日米でエイズの啓発コンサートも続けてきた人です。
今年も12月1日(月)は世界エイズデーです。この日に「エイズからエボラへ」という持続的な社会啓発を謳って中村さん率いるライジングサン・バンドがブルックリン・パークスロープの「ShapeShifter Lab(シェイプシフター・ラブ)」で7時から演奏します。寄付は現金と小切手で受け付けます。詳細は次のとおりです。
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【世界エイズデーコンサート=エイズからエボラへ】
日時=12月1日(月)午後7時〜9時
場所=ShapeShifter Lab (18 Whitewell Place, Broklyn, NY=最寄駅はR線のユニオン・ストリート)
出演=Teruo Nakamura & the Rising Sun Band, with Monday Michiru (Vocal/Flute)
入場料=15ドル
寄付願い=できれば10ドル以上を。小切手宛先は The Safety Channel。全額がモンロビアの「Providence Baptist Church Medical Center and Orphanage」へ寄付されます。