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1年後の明るい未来の夢

こんな恥ずかしい人物はいないと嫌悪する向きも多かったトランプ大統領でしたが、就任後ほぼ1年経った2018年の元日、予想に反してなかなかやるじゃないかという見方が広まっています。

最初は内政でした。オバマ前大統領の8年間とは真逆の政策は混乱もありましたが、それは長年続いた「政治的正しさ」のタブーを破ることの衝撃波のようなものです。オバマケアは早速上下両院で廃止の手続きが粛々と進められ、現在「トランプケア」と名前を変えた医療保険制度へとシフトしようとしています。共和党がもうそろそろその原案を出そうとしていますが、中身はあまりよくわからないですがきっとオバマケアより安価で広く行き渡るはずだと宣伝されています。オバマケアで新たにやっと医療保険を手に入れた2000万人の人たちも、それを廃止されて宙ぶらりんの状態の解消を今か今かと心待ちにしています。

さらには連邦法人税を35%から15%へと削減したことが功を奏したのでしょう、ダウは2万ドル越えで安定し、ウォール街はますます栄え、それに伴って社内留保を増やした大企業からは、ミット・ロムニーの夢見たトリクルダウン・マネーが社会の隅々に行き届く兆しが見えてきています。

もちろん背景には企業活動への各種の規制解除があります。トランプ政権は公約通りパリ協定など気候変動対策のムダな出費を停止しましたが、北極はだからと言って急にもっと融け出すわけでもなく、気候変動は人為的なものとは違う、大きな地球活動のうねりの一つに過ぎないことが周知されました。そこで国内でもシェールガスなどのエネルギー生産規制が次々と解除され、産業界は一段と活気を帯びたわけです。

当然の事ながら、水質汚染と先住民への環境正義が懸念されるとしてオバマ前大統領が中止したダコタ・アクセス・パイプラインの建設なども再開され、反対先住民を無視した強行手段は沖縄・辺野古移設問題での反対住民への対処の仕方と同じだとして安倍首相をも勇気づけました。

こうした経済第一主義は今後予定される道路や橋など国内インフレの大改修計画で加速が期待され、ラストベルト復興の予兆は国内の治安をも好転させています。

なにしろ犯罪歴のある200万人以上の不法移民をあっという間に強制送還したのです。残っているのはお墨付きの優良移民だけ。何と言っても銃の販売自由化が効果的でした。緩和された身元チェックでより多くの白人が簡単に重武装できるようになったのですから、一般の犯罪者ばかりかテロリストたちもすくみ上がるに決まっています。

驚いたのは国際関係です。ロシアのプーチン大統領に選挙で恩義のあるトランプ大統領はウクライナ・クリミア半島問題で実施されていた対ロ経済制裁をいち早く解除して、ロシアでも米国企業が自由に経済活動をできるようにしました。フロリダのトランプマンションではロシアの富豪たちが部屋を買い漁り、ロシア中でトランプホテルが建設ラッシュ。米露という超大国二国ががっちりとカネで結びつき、世界の不安要素を力づくで押さえ付けてくれるなんてことを、オバマ時代には予想できたでしょうか?

一方これに神経を尖らせるのが中国です。「一つの中国」など気にしないトランプ大統領はツイッターでも台湾総統と相互フォローの関係になりました。前代未聞のこの揺さぶりに中国も大量の米国債売却や中国内での米国企業規制強化などの脅しを試みましたが、トランプ大統領は「やれるものならやってみろ」と深夜の暴言ツイートを止めません。先読みできない滅茶苦茶に、カタブツ習近平と硬直した中国共産党は思考停止中のようです。おまけに世界の問題児・北朝鮮との関係も、こう着状態打破のためならトランプ大統領は金正恩に直接会ってもいいという神対応をほのめかして、これもまた歴史的なウルトラCが見られるかもしれません。

「政治的正しさ」よりも「まずはカネだ、ビジネスだ、取引だ」というトランプ流本音主義がどうも今後の世界の方向性のようです。人間、カネと仕事で満ち足りてさえいれば差別も憎悪も無くなるはず──それが新たな世界秩序なのかもしれませんね(ってホントかよ?)。

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