覚書──森友近畿理財局文書削除問題
近畿理財局の決済文書書き換え問題、通常の役所文書というのはあれほどまで詳細に政治家の名前や交渉経緯を書いたりはしない。詳しく残すことで突っ込まれることも増えるからだ。しかし森友との土地売買の経緯は微に入り細に入り記録されてあった。
すなわりこの理財局の決済公文書改竄問題は、後から削除し改竄し言い繕ったことの責任というよりも、それ以前、改竄前のテキストの異常なまでの詳細さ、特例的な措置の理由を記録するという内幕の暴露(告発)が、省内的かつ政府内的に重大な叱責懲戒事由になることを恐れての削除かつ自殺だったのかと思われる。
近畿理財局の、森友決済の経緯を詳細に記した改竄前文書はつまり、文科省の前川さんが行ったと同質の、時の政治権力の圧力によって行政が歪められていることの詳細な告発(仄めかし)文書であるということだ。財務省かつ安倍政権にとって、それがまずいとわかったから告発部分を消させたわけだ。
そんな文書を理財局が各責任者印を全部押して決済したということは、これは財務省本省に対する近畿理財局の不服文書だったってことじゃないか。それを糊塗した本省は、その糊塗がバレることで本来の告発を浮き彫りにしてしまった。これは二重仕掛けの時限爆弾だ。文書作成者、よくやったと思う。
この文書問題で、「書き換えるなんてありえない」として日本の官僚の劣化が批判されているけれど、いやむしろ、その文書に、書き換えさせなければならないほどの告発を忍ばせた官僚の正義感を、誇らしく思うべきところなのかもしれない。