Bouley Upstairsまたもやwith Ferran Adria del Bulli
2006-10-07
☆☆☆
あー、あれからまた1年が経ったんだなあ、って感慨はじつは、ほんじつふたたびエル・ブリのフェランとこのレストランで再会して、ブログを見たら去年は10月30日だったんじゃない、ってわかったからです。
あれからわたしはこのアップステアーズにはNYにいるときは毎週多いときは3回は来ていて、その間、デイヴィッドはテストキッチンができてそっちに忙しくて行っちゃってるし、しかしアップステアーズは懐石シェフの三上マスターが相変わらず孤軍奮闘。最近は混乱していたサービスもなんとなく客にまではあからさまに混乱してるとはわからない程度に落ち着いてきて、そんでこの2年目の秋を迎えています。
本日は7時半からひとりで訪問しました。
ロングアイランドのビールを頼んだら、すかさず三上さんが居酒屋のごとくお通しを出してくれましたが、これがあなた、ホタテのヒモと身とを粕で和えたもの。これがなんとも甘くて、じつはこれですでに腰砕けになりました。たった30gほどのお通しですよ。
おまかせは秋めいて、あるいは本日はなんと気温13度しかなくて。そのせいかときに冬めいてぽかぽかするもの。
さんまを味噌と醤油で二度漬けしたものや、マナガツオを麹と酒と塩で〆たものとか、焼きも充実していましたが、わたしはそば団子というかそばがきというかそばニョッキというか(そば8割に白玉粉2割でこねたものだそうです)、それをだしで温めなおして牛蒡と青ネギで調味して、そんで例のトリュフのピュレの入ったとろみ汁を掛けてお椀みたいにしていただく、これで砕けた腰が元に戻ったほどに生き返りました。
和食ってのはね、ふつう、ひととおりぜんぶ味わったことのあるものしか出ないからよほどじゃないと驚かない。その点では日本人の客には不利だ。でも、不利だとか勝ちだとか負けだとか、そういうのはいいの、もう。そんな気分になれば上出来じゃないですか。そんで、ここはそういう店なんです。
で、それでフェラン・アドリアご一行様4人が10時に登場。だーれもウェイティングスタッフ、それが彼だとは知らずに「予約持ってるのか?」って、おいおい、そりゃ失礼だろー。私ちょーどカウンターのいちばん入り口寄りにいたので「あ、フェラン!」って気づいてご挨拶。おいおい、マネジャーのジョエルはどこだ、おまえ、そんなメニューなんか見せるなこのひとに、って差配して、テーブルに着かせるや、こんどばかりはフェランが何者かを(去年の訪問で)知っていた三上さんも、はりきって他の客と同じお任せコースを(笑)お出ししたわけですわ。
本日は最初は鴨と焼きなすね、それから松茸の土瓶蒸し。それからセザールがなんか本店から持ってきて、次に三上さんからサンマとマナガツオ、で、さんまはちょっと浸かり過ぎてしょっぱかったからたっぷりおからをまぶして出したら、「これは何だ?」ってご一行様、ご質問です。そんなこんなで、またまた楽しく1時近くまで。
今日は久しぶりに(パリ以来)ヴァンサンにも会えたし、パティスリーのアレックスにも会えたし、新しいソムリエのオリヴィエにも(これは本店からわざわざフェランにサーヴに来たんだが)会えたし、ま、よかったんでないかい、って、もちろん、おなかいっぱい、幸せな夜でありました。
フェランは来週月曜日、つまり9日にテストキッチンに来るという。わたしもちょっと仕事があってテストキッチンにお昼から行くことになっていて、そのときにでもまた話ができそうです。