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May 01, 2008

一風堂NY

2008-04-30
ラーメン
一風堂NY店
☆なし
65 4th Avenue (10th Ave.), NY, NY
212-388-0088

まずくぁありません。ブロスもちゃんと地下で自分たちでとってるそうです。出来合いのスープの素で作っている大方のニューヨークのラーメンよりましではありましょう。

しかし、これを13ドルという値づけで供するのはいったいどういう算段なのでしょう。
税金つけて14ドルちょっと、チップを込みで16ドルです。
ラーメン1杯に16ドル、1680円。どういうつもりなの?

おまけにチャーシューはみみっちいほどうすくて小さい。
材料費倹約してますってのが透けて見えるくらいに薄っぺらい。
アメリカの豚だから脂身がなくてパサついてるのはしょうがないにしても。
ことほどさようにトッピングのすべてが遠慮がちで、キクラゲはなんだかキクラゲじゃないみたいだし、生キャベツって一風堂の特徴なの? それにしてもぴらぴらと飾り程度にしか載っていません。

何様?

豚骨だってべつに輸入してるわけじゃないでしょう。豚ははるかにアメリカのほうが安い。あとなに? 麺だってこっちで製麺できます。仮に輸入してるにしてもたいした額じゃあない。じゃあなんで16ドルもするのか? これは店舗などの初期投資を早めに回収して、ということなのかしらん? 人件費?

うーむわからん。

あのね、NYではシマダヤの「名人おすすめのラーメン」という2食入りの生ラーメンシリーズが日本スーパーで3ドル50くらいで売ってます。このシリーズ、けっこううまいの。つまり、1食分だと、この一風堂のラーメンは値段的には10倍、いや、諸経費込みで5倍は美味くなければならないことになる。

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5倍、うまくありません。
せいぜい、1.2倍、うまいくらいです。あとは手間ね。

ほんと、ひとこと、「何様?」というのがこの店に対する印象です。

January 20, 2008

Wakiya(再訪 ランチ)

2008-01-15
ヌーヴェル・シノワ(新中華)
Wakiya
☆なし
2 Lexington Ave.(21st St.)
in Gramacy Park Hotel
212-995-1330

友人のお誕生日会を兼ねてwakiyaにランチで行ってきました。
60ドルのお任せコースだったんだけど、なんだか、ふつうのチャイニーズでした。
てか、いちばん首を傾げたのは、コースなのに、麺とかご飯ものとかが付いていないのです。
おもわずいちばんシンプルな海鮮系のタンメンを追加注文しちゃいました。

こういうの、いけないんじゃないでしょうか?
どういうコンセプトなのでしょう?
ご飯、頼めばよかったのかな、ふつうのチャイニーズに行ったときみたいに、注文すれば無料で白米、付けてくれるはずだったのかもしれませんね。

メニューはロブスターとグレープフルーツのサラダから始まり、次もロブスターの味噌を使った辛味のある黒豚角煮。重複、リダンダンシーです。

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次の揚げシーバスのスープ仕立てもまずくはないがべつに、という感じ。
最後は例によって和州ビーフの黒酢揚げ煮です、それのサラダ菜巻き。これはせっかくのビーフが、なんだかわからなくなっちゃってるという代物。しかも、下に敷いてあるのが、先のシーバスのときと似たようなもんで(ウェイターに訊いたら両方ともレンコンを棒状に切って揚げたものだと言ってましたが、なんとなく違うような気がします。どっちかはパースニップだったんじゃないかな)、それにしてもロブスターが2品にまたがっていたりと、こういうの、もうちょっと気を遣うべきでしょうね。

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ふーむ、こんなもんかね。
まあ、いっときますが、まずくはないんですよ。
でも、そんなにうまくもないの。

向こうの席にヒロミ・ゴーがランチを食していて、誕生日の友人が写真をいっしょに撮ってもらったのが、よかったといえばよかったですけど。

ちなみに、昨年11月のディナーの訪問時はこちら
こちらの☆2つもおまけが入ってたんですが、今日のと合わせて☆1つがこのレストランのまあ正当な評価かもしれません。

January 02, 2008

ブノワ

2007-12-15
フレンチ
Benoit(ブノワ)
☆なし
東京都渋谷区神宮前5-51-8
ラ・ポルト青山 10階
03-5468-0881

泣く子も黙るアラン・デュカスの東京ビストロ。ミシュラン東京で☆1つ獲得したそうで、この日はランチで5500円のコースを食べました。が、まったくいただけませんでした。シェフが不在だったのでしょうか、どれもとんでもなくしょっぱいのと、味がだれているというかボケているというか、ひどいもんでした。周りは女性客で溢れていましたが、こんなものを食わされてこれがフレンチ(地中海風と銘打ってはいますが)だと思わされているならかわいそうです。まあ、サービスは悪くなかったですけどね。

5500円のコースはオードブルメニューから2品、前菜から1品、メインから1皿、それにデセールですが、値づけがまず高すぎます。青山の国連大学ビルの並びなんですけど、地価でしょうか。

私はオードブルから牛のタルタル(左)とズワイガニのアスピック仕立てを選んだんですが、だいたい、このズワイガニの容器が口の狭いつぼ型で食べづらいことこの上ない。なんか、ジャムを入れるガラス容器の使い回しみたいな感じで、なんでこんなもんに入れて出すんでしょうか。牛のタルタルもべつに何ですかって感じで、ワインはサンセールを頼んだんですが、これを食べてワインを飲むとちょっと味が変わって面白いのはたんにウスターソースのスパイスのせいでしょう。

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前菜なるものは地野菜のブイヨン煮を選びましたが、この野菜、まったく風味も食感も死んでしまっていて、ブイヨン煮というよりもブヨブヨ煮。そこらのスーパーで買った野菜だってうまく調理したらこれより美味いはずです。コンソメブイヨンも煮詰まった感じで香りがボケていて、なおかつとてつもなく塩っぱい。まいったね、こりゃ。

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とどめはこの鹿児島産黒豚のロティ。
エシャロットのコンフィとほうれん草が添えられていますがね、このソースはシャルキュティエ(豚肉加工職人風)と呼ばれるもんなんだけど、炒めたまねぎ、ピクルス、粒マスタードが入ったソースなのにそのいずれの風味も平坦に塗り込まれた泥壁みたいに一元的で、何なんでしょう、これは。そんで、やはり塩っぱい。

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それと、ロティというのはローストってことなんですが、この豚肉、バラ肉の部分なんだよね、それを長時間の低温調理でまず下処理してから焼いてるもんだから、ローストの食感がなくてまるでシチュウ肉のように柔らかくて気持ち悪いの。ローストってさ、頼む人は低温でじっくりオヴンで焼いたり、あるいは火にかざして焼き付けるものをイメージしてオーダーするんですよね。で、柔らかくても端がかりっとしてて、ナイフ入れるとまだ食感の残る肉から透明な肉汁がしみ出してくるのを期待してオーダーしてるわけです。口の中で噛むごとに肉の味を楽しむ、みたいな。でも、これ、肉の味もしない。前述のようにソースも単調。まあね、ローストビーフでもこういうのあるけど、ビーフの場合は中がピンクでいいから。でも豚だとね、ぜんぶ火を通すというオブセッションでこんなにぶにょぶにょに処理しちゃうのかもしれないね。でも、なんか違うでしょって思っちゃう。こういう肉が食べたいならシチュウを頼むもん。そうだなあ、ああ、スペアリブでこういうふうにむやみに柔らかく処理しちゃってるのがあるなあ。あれも苦手だなあ。なんか、先に茹でてるんじゃないの、だから味がもう逃げ出ちゃってるんじゃないのってな感じの。

全般的に言って、フランスに行くと何でも味が濃いのはわかりますが、でもそれはそれで味がしっかりと主張してるもんです。でもここのブノワ東京の味は、主張なんかしてない。怠慢な印象がする。

凡庸とはこういう味をいうのでしょう。ディナー・シェフは知りませんが、すくなくとも私の食したこの日のランチは(そうして連れの頼んだ別のメニュー、リゾットやヒラメのソテーなども)、わざわざ高い金を払って食べに出向くようなもんではござんせん。
デセールもまったく面白味のないものでした。
以上。

July 02, 2007

魯山人

2007-06-28
京懐石
魯山人(Rosanjin)
☆なし
141 Duane Street, NY, NY 10013
212-346-7999

論評に値しません。
でも、書いちゃうのは、鳴り物入りで登場した「本格京懐石料理の店」と騒がれているからです。
この店がトライベッカにできてNYタイムズでも紹介され(評価ではなく、紹介記事です)、あちこちでここの経営者が(韓国人で高校から日本で教育を受けた元商社マンのジュンジン・パークという人)「まだニューヨークに紹介されていない日本料理がたくさんあるのに、創作和食に走るのもどうかと思う。江戸前はこういう味、バッテラはこういう味という、かくあるべき味をめざしたい」と語っているのを聞いたら、これは食べてみなくちゃと思うのは当然でしょう。

でも、食べてみて、あきまへん。一部で、京都の「たん熊」で修行した料理人が作っているとされていたのですが、本当でしょうか。とても信じられません。このどうでもよさは、ミッドタウンで高級懐石を自称する「杉山」と双璧のどうでもよさです。

酒の取り揃えが少ない、ワインがない、ビールはサッポロの瓶だけ、というのは料理とは関係ないのでまあこの際は問わないことにします。
で、150ドルのコース。
さいしょからいけません。
先付けなんですが、お盆の上に3つ並びました。
なにもいわない。
そういや、日本ではなにも説明せずに出してくるなあ、と気づくまでに時間がかかりました。
訊けばよかったのか。でも……(あとでわかります)。

さて肝心の料理は、
右に、鱧の梅肉。鱧が死んでいます。くたっとして、海老を茹でて叩いたのかと思った。
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真ん中にトコブシかアワビの殻にその貝の切り身とホタテが入っていて、そうして、なにを思ったかマヨネーズベースのグラタンになっています。おいおい、どこの修学旅行の旅館料理だ? おまけにレンコン乾いちゃって硬いの。
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左側に葛豆腐。枝豆がぽろぽろと入ってたけど、なんだか味がおかしい。微妙に安い子供のお菓子の味がする。そんで酢も入ったつゆの味がきつい。
で、支配人らしき年配男性に「これは何ですか?」と(やっと)訊いてみることに。
すると、「水無月でございます」
はい、それはわかっております。三角に切って葛なら、これは6月の和菓子「水無月」に模した料理です。でも、私が訊いているのはどういう味が入っているかであって、名前ではない。
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このおじさん、ダメです。よくわかってない。
というのも次がお椀で、しかもまたまた同じく鱧が出てきたんですけど、出汁がとても燻香が強くて、ふつうは上品な本枯れ節を使うんですけれど「これは荒節ですか?」と訊いたら、この支配人、「ええ、うちはちゃんと出汁をひいております」。
そんな、訊いていることは違うでしょう。
しかも「うちは出汁を引いてる」って、そんなこと自慢してどうするのよ。
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おまけにこの鱧のデカいこと。それに、向うっかわに写ってるの、あれ、揚げ豆腐です。なんで? どうして揚げ豆腐なんかがお椀に入ってるの? わけわかりません。味のバランスが崩れるでしょうが。

向う付けのお刺身が次に出てきたんですが、この器、織部ですが、いい感じでした。熊本オイスターがおいしかったです。そんなけ。で、出汁醤油とたまりとが2つ用意されてるんだが、これも説明ないんで、アメリカ人はわからんと思いますよ。どれをどっちにつけて食べるのか。
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次はおしのぎなんでしょうか、お鮨でした。トロと穴子のどちらかを選んでほしいと言われました。
1貫、つまり2個くるなら、べつに一つ一つでもいいんじゃないのかしら?
でも穴子を頼みましたら、この穴子、詰めがしょっぱいのと、穴子がばさばさしてるの。うそだろ、おい、ってな味。おまけにガリをこんなふうに三角に畳んだら食べづらくてしょうがないじゃないの。一枚一枚剥けっていうわけ? それともガブリと? 私は後者をやりましたが、結構噛み切れないものなのですよ。はは。
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でさあ、次のがまた観光旅館料理。カレイ(だっけ?)の南蛮。酢の物ですな。下にはウニとなんか(忘れた)のソース。
うーん。なんじゃい、これ。居酒屋「力」(ミッドタウンの飲み屋です。リキと呼びます。まあまあうまいよ)あたりで出てくれば、お、酒が進むねえ、でいいのかもしれないけど。
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焼き物は鱒かな。手前はアスパラの湯葉巻き。周りに垂らしてあるのはバジル入りのオリーブオイル。
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そんで次がウナギですからね。
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最後のご飯は餅米。うえに鯛かなんかが載ってて、空豆? そんで一汁一菜。
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なんか、ご飯、丸まっててお握りみたい。懐石で餅米って出るのかなあ。寡聞にして知りませんでした。

デザートは写真撮るのもやめました。クリームブリュレかバニラアイスか。

この店は早晩、潰れると思います。
やれやれ。
わたしたち、この日、この店で出てきた料理のこと、ひと言もテーブルで話題にしませんでした。こんなに料理好きの面子がそろってたのに。可笑しいねえ。

September 13, 2006

ランファン・キ・レーヴ

2006-9-6
ランファン・キ・レーヴ
☆なし
〒007-0880 札幌市東区丘珠町604-1
モエレ沼公園ガラスのピラミッド内
TEL 011-791-3255

L'enfant qui reve、つまり英語では The child who dreams「夢見るあの子」って感じの意味ですね。le (the) と定冠詞なのが訳しづらいところ。そういう謂いがフランスにはあるのかしら?

ここは札幌から20分、な〜んにもないところに出現したイサム・ノグチのデザインとなる公園のなかにあるしゃれたレストランです。いろんな人から勧められて、ランチに母親、叔父夫婦を連れて行ってまいりました。

アミューズはどういう順番で食べればいいのか、コーンポタージュでしょ、キッシュでしょ、さんまのマリネでしょ、それで、もう一品、忘れた。ちっちゃな皿やグラスに盛られて、4人分をポンと出してきて、みんなで取って食す。

で、前菜に入ると、スモークサーモン、北海道の何とかカボチャでしょ、ポロネギの茹でてアスパラみたいな味と食感になったやつでしょ、エビをズッキーニで巻いたやつでしょ、あと、なんかの天ぷら(これも忘れた)。

次は海のものね。これはホッキ貝のソテー。とてもよい焼き具合。それに野菜のグリエ。


次はスープと来ました。前日のテルツィーナでも食した柳の舞っていう名前の白身魚のグリエしたのを沈めて、上に舞茸を載せ、そんで魚のフュメを注ぐという趣向。

主菜は鴨でした。山わさびのソースというかコンディメントをかけて、下には焼き葱という定番。

そんで、デセール。白ぶどうの実とジェルの上に赤ぶどうのソルベを載せたもので、じつはこれがいちばんうまかったです。

っていう書き方でわかると思いますが、料理は可もなく不可もなく、予想した味が予想したとおりに舌に載る、というふうで、安心して食べられます。フレンチというより、料理としてはもっと素朴なイタリアンのアプローチに近いかな。まあ、雰囲気もあわせるとこれで上々というべきでしょうね。

しかしダメなのです、この店。何がダメかって、ここのウェイティングスタッフです。

ちっとも微笑まない。料理の描写がぞんざい。なんだかすごく無愛想で、わざとじゃないんだけど、木で鼻をくくったような、というか、というより力量、器量の問題なんだろうなあ、アルバイトなんだ。応対が、プロじゃないのです。

料理がこのレベルだったら言葉一つで客を上機嫌にもできるはず。そんで笑顔一つで☆半分追加ですよ。ちょうど、そうやって言葉で飾ってやれば☆1つ、言葉がなければ☆なし、というそんな境界線上にある料理なのです。大きな窓の向こうには広大な自然が広がり、青空には雲までもが力を持って描かれている。そういう最高のロケーションおよびシチュエーションで、この客対応はないよなあ。

それともうひとつ。あの、くだらないフラットウエアはやめるべきです。見た目はかっこいいけど、柄も刃も細すぎて使っていて手の中でくるくる回っちゃう。バカげたデザインのナイフとフォーク。大量に揃えて買っちゃったからしょうがなく使ってるんでしょうがねえ。


ということで今回の訪問を基にした判断では、結果的にはちっとも面白くない、スタイルだけがおしゃれなレストランでした。
行きたい人は行って、という感じです。
じつにもったいない。
夜はもっとプロが応対してくれるのかしら?