やくみや(移転・再訪)
2007-12-13
小料理・飲み屋
やくみや
☆
東京都新宿区荒木町1-2
なかばやしビル2階
03-6318-3421
新宿ゴールデン街にあった「やくみや」が2007年11月末に四谷・荒木町に移転し、それでさっそく出向いてみました。地下鉄の四谷3丁目の駅から歩いてすぐです。新宿通から杉大門通りを入って100mほどの右手のビル2階。杉大門通りの入り口あたりからでも水色の四角い看板がひときわ目立つのですぐわかるでしょう。
ゴールデン街のあの雰囲気も良かったが、ここらへんもむかしの花街。路地に飲み屋が並んでていいところですね。今回の移転先はなんといってもゆったりした広さでくつろげます。いっぱいで、行っても入れないんじゃないかという行く前の心配も薄らぎました。そんでもって厨房設備の格段にアップしたこと。シェフの佐和さんもこれなら十分に実力を発揮できるでしょう。ソムリエの朝子さんは相変わらずなかなか妙味のある酒類の選択で、日本酒で「清吟」という、とても清潔でエグミのまったくないいい酒を教えてくれました。
さて、小料理屋というか割烹というか、こういうところの料理はじつはいくらでも手抜きをしようとすればできてしまうところがある。ちまたにはそういう店があふれています。いわゆるネイバーフッドパブというのはご近所のよしみや手軽さ手頃さもあってそういう手抜き料理でも赦されてしまうんですね。まあ、家で飲むよりもつまみの数はそろっているし、酒の肴の得意な奥さんばかりでもないですからね。それに、家庭料理にちょっと毛の生えた程度の素人料理が出てくる気の置けなさってのも嫌いじゃないし。
でもね、このやくみやの料理を食べると、いつも、正しい料理だなあ、って感心するのです。ほんと、背筋がきちんと一本通っている料理。それにプラスして、調理技術の下地ということだけではなく、いつも、勉強してるんだなあ、考えてるなあ、と感じるのね。そうやって頭使ってるから、ちょいとひねってもひねりすぎることがない。ひょいひょいと宙返りはしても着地はきちんと定点で決まる、みたいな。だからね、おや、面白いなあと思っても安心していられるんですね。やっぱり料理も思索なのよ。
あいかわらず素晴らしい店でした。ということで、今回の帰国では2週間ばかりの東京滞在で計4回も出向いてしまいました(うち1回は定休日なのを知らずに訪れたんですけど)。
塩水とともに煎った銀杏。きれいだね。
正しい〆鯖。
海老しんじょの春巻き。
焼き野菜。シンプルだけどね、次に紹介の「ブノワ」の地野菜よりはるかに野菜の味がいい。そうね、この焼いた野菜をスープというかだしというか、そういうのに浸して食べさせても面白いかも。
ブリ大根。色はしっかり、でも味はすんなりとやわらかです。