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January 02, 2008

やくみや(移転・再訪)

2007-12-13
小料理・飲み屋
やくみや

東京都新宿区荒木町1-2
なかばやしビル2階
03-6318-3421

新宿ゴールデン街にあった「やくみや」が2007年11月末に四谷・荒木町に移転し、それでさっそく出向いてみました。地下鉄の四谷3丁目の駅から歩いてすぐです。新宿通から杉大門通りを入って100mほどの右手のビル2階。杉大門通りの入り口あたりからでも水色の四角い看板がひときわ目立つのですぐわかるでしょう。

ゴールデン街のあの雰囲気も良かったが、ここらへんもむかしの花街。路地に飲み屋が並んでていいところですね。今回の移転先はなんといってもゆったりした広さでくつろげます。いっぱいで、行っても入れないんじゃないかという行く前の心配も薄らぎました。そんでもって厨房設備の格段にアップしたこと。シェフの佐和さんもこれなら十分に実力を発揮できるでしょう。ソムリエの朝子さんは相変わらずなかなか妙味のある酒類の選択で、日本酒で「清吟」という、とても清潔でエグミのまったくないいい酒を教えてくれました。

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さて、小料理屋というか割烹というか、こういうところの料理はじつはいくらでも手抜きをしようとすればできてしまうところがある。ちまたにはそういう店があふれています。いわゆるネイバーフッドパブというのはご近所のよしみや手軽さ手頃さもあってそういう手抜き料理でも赦されてしまうんですね。まあ、家で飲むよりもつまみの数はそろっているし、酒の肴の得意な奥さんばかりでもないですからね。それに、家庭料理にちょっと毛の生えた程度の素人料理が出てくる気の置けなさってのも嫌いじゃないし。

でもね、このやくみやの料理を食べると、いつも、正しい料理だなあ、って感心するのです。ほんと、背筋がきちんと一本通っている料理。それにプラスして、調理技術の下地ということだけではなく、いつも、勉強してるんだなあ、考えてるなあ、と感じるのね。そうやって頭使ってるから、ちょいとひねってもひねりすぎることがない。ひょいひょいと宙返りはしても着地はきちんと定点で決まる、みたいな。だからね、おや、面白いなあと思っても安心していられるんですね。やっぱり料理も思索なのよ。

あいかわらず素晴らしい店でした。ということで、今回の帰国では2週間ばかりの東京滞在で計4回も出向いてしまいました(うち1回は定休日なのを知らずに訪れたんですけど)。

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塩水とともに煎った銀杏。きれいだね。

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正しい〆鯖。

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海老しんじょの春巻き。

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焼き野菜。シンプルだけどね、次に紹介の「ブノワ」の地野菜よりはるかに野菜の味がいい。そうね、この焼いた野菜をスープというかだしというか、そういうのに浸して食べさせても面白いかも。

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ブリ大根。色はしっかり、でも味はすんなりとやわらかです。

May 31, 2007

こなから

2007-05-29
居酒屋
こなから

東京・豊島区北大塚1-14-7
03-5394-2340

東京に住む旧知のアメリカ人大学教授に誘われて大塚にあるこの店まで連れてきてもらいました。駅北口からちょっと歩くだけ。大塚なんて、学生時代に「山手線一周歩け歩け深夜強行」をやったときに通り過ぎたことがあるくらいで、ふつうは来ないよなあ。

でも、ミシュラン風にいえばこの店は「この店だけのために大塚に行ってもよい」というような店でした。料理の一つ一つが小気味良い。まあ、酒菜ですけれど、こういう小品であればあるほど、奇を衒えない分だけ屋台骨がしっかりと見えてしまう。ここの屋台骨は白木の檜の柱。技自体が自然と溶け込む、みたいな(大袈裟;;)。

んで、びっくりしたのが(まあ、お店とは関係ないけど)近頃の焼酎の旨さでした。
ここも例によって焼酎の品揃えが豊富なんですが、560円だったかな、「まんこい」っていう焼酎は、飲んでいてまるで上質な年代物のカルヴァドスみたいな味がしましたし、名前忘れちゃったけどもうひとつのはアルマニャックだった。それをグラス一杯、ほとんど5分の1の値段で飲める。焼酎恐るべしです。

まずはポテトサラダから。というのは、生ビールを頼んだら、これがまた名人芸のぽっくりの泡立てで、なんだか、生ビールにはポテサラじゃありませんか? はは。ビールって、泡を飲むわけじゃないが、この泡と唇との接触でずいぶんとそのあとの味の印象が変わる。英語で、good kisser(キス名人)という言葉があるんだけど、ビールって、このキスの上手い下手と似てません?
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とってもまろやかなのは卵が入ってるから。それとタマネギのスライスの混ざり具合もよかった。日本のポテサラは心を落ち着かせる作用がありますわん。

お刺身も皮目の焼き霜、昆布〆ときちんと仕事をしてあります。焼き霜のは鰆。昆布〆は平目。
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アスパラのおひたしの上にはとろろ昆布です。きれいでしょ。見た目どおり、奇麗な味です。
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赤絵の皿に、新生姜と平いんげん。胡麻と豆腐のソースのこの上ないクリーミーさは裏漉しの手間でしょう。
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野菜づいてる、というのも、初夏の風情もあってたのむはしから美味しいから。
これは白菜としめじの煮浸し。
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それとこれは根曲がり竹の焼いたの。
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あとでネットで調べたらこのお店、やっぱりあちこちで絶賛されてました。人気メニューというのもあるらしいけどそれは今回はミスしてたみたい。ってか、お肉はたのまなかったし。

なんだかとても清々しい気分でお店を後にしました。
ちなみに「こなから」というのは「小半ら」と書くらしいですね。「半ら」はお酒の半升のこと。そのさらに半分を「小」を付けて呼んだんですね。つまり2.5合。お酒はこのくらい飲むのがちょうどよいっていわれてるそうです。はい、いつもオーバーしております。ぐぷぷ。