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2001/06「真紀子バッシングの正体」

 ミサイル防衛航想を批判したせいで米国が田中外相に怒っているというが、米国ではその件でどんな報道がなされているのかと東京の知人から質問された。そんなものニュースになどなっていない。すべては日本の外務省のリークによる自作自演。そしてそのすべてが、田中外相を更迭させようとの思惑にそっている。

 しかしこんなにあからさまなリーク攻勢は経験がない。官僚トップの柳井駐米大使までが出てきてワシントンで記者会見し、批判の件で「米国からも問い合わせがある」と話した。問い合わせは外交の基本。あるに決まっている。しかしそれは公表すべきことではない。発表すべきものなら向こうも公式にそうするからである。そうでないものはそれこそ外交機密。それを会見までして大使が公表する。なりふり構わぬとはこのことだ。

 政権が交代すれば官僚のトップもそっくり入れ換えられる米国と違って、日本では首相が替わっても官僚は同じだ。いつしか大臣よりも官僚が実権を握ってしまう。利権も握る。自分たちが政治を動かしているのだと思い違いをし始める。

 そこに彼らのリークをナマのまま垂れ流す政治記者たちがつらなる。ご丁寧に「外相会談で茶飲み話のような話をされては困る」と言った官僚の苦言まで新聞に載ったが、そういう口語体のレベルの話だと分かっていてやれ「次官に辞碧提出を要求」だのと大げさに見出しを取るのはあまりにさもしくないか。


 批判の噴出は豪外相が田中外相のミサイル批判を「米国に伝えないわけにはいかないと言った」とされた辺りから。だがそれはウソだった。しかもそのウソの責任問題は出てこない。誰がそのウソをついたのだったか。それが裏でうごめくものの正体。官僚が強気なのも橋本派を筆頭とするそんな魑魅魍魎のおかげだ。

 そして肝心なのは、ここに田中真紀子という女性へのオトコ社会のメンツが重なるということである。既製の男の論理や基準を無視して走る女の存在に男どもが苦々しさを募らせる。官僚及び自民党内の真紀子バッシングは、「だから女はダメなんだ」と言いたい世間のおじさんたちの女性観と深くつながるのである。それも、日本の政治をここまでダメにしたのがそもそもそんなおじさんたち自身であるという自覚を完璧に欠いたまま。

 なるほど種々のものが見えてくる内閣である。日本の現代政治史上、それだけでも小泉内閣の意義は大きい。そこまで見えて、さて内閣は支持するが自民党は支持しないという有権者は参院選でどうすればいいのか。民主党が反自民の一環で田中擁護を打ち出せば面白いが、そんなウルトラCは男の発想では無論ない。

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