NYC GAY PRIDEの概要と仕組み【2004年度資料】
●ゲイプライドマーチの概要・仕組み
毎年6月最終日曜日に行われるニューヨークのプライドマーチではいつも百万人近い人が集まります。ストーンウォールから35周年。すっかり大きく成長したこのプライドマーチの仕組みの概要を紹介しましょう。これは主催者の発行する「参加の手引き」みたいな資料です。
【マーチの企画運営者】
主催者は「ヘリテージ・オブ・プライド(HOP=プライドの継承)」という名の非営利ボランティア組織。ここへの参加希望者は年齢、HIVステータス、人種、宗教、性的指向、ジェンダーなどの別に関係なく歓迎されます。
HOPはプライドマーチだけでなく、それに付随する政治ラリー、プライドフェスト(お祭り)、ダンス・オン・ザ・ピア(ディスコ大会)の計4イベントを企画運営。準備は1年がかりです。
HOPはその4イベントの専門担当委員会の他、資金調達委員会、広報報道委員会、参加協力呼びかけ委員会などで構成されます。
非営利でありながらも音響機材、観客席、トイレ施設などにお金が必要。このため、参加団体ごとにマーチ参加者のだいたいの予想人数を届けてもらい、その1人につき2ドル50の寄付金をありがたく承る、ということになっています。
【プライドマーチの手順】
マーチに参加希望の団体は6月4日まで(消印有効)に使用車両やフロートの届け出とともに参加申請書と参加登録料を提出します。この受領を待って主催者は参加確認書を送付します。
マーチ参加団体は6月10、12、16日の3回にわたって開かれる1時間の代表説明会の1つに必ず代表を1人以上出席させなくてはいけません。その席上でフロート車両および荷役動物の許可証が配布されます。
昨年は14部門250団体がマーチに参加しました。
【参加登録料】
参加団体からは車両およびフロートの登録料として手数料を徴収。荷役動物を使う場合も車両として登録します。4月23日までを早期登録料として割引し、その後6月4日までの登録は割高です。以下、団体のジャンル別の登録料です。
▼4月23日までの割引登録料▲
●非営利団体=車両175ドル・フロート250ドル●企業スポンサー付き非営利団体=車両1175ドル・フロート3250ドル●年商100万ドル以下の小企業=車両400ドル・フロート600ドル●企業スポンサー付き小企業=車両1500ドル・フロート3500ドル
▼以後6月4日までの登録料▲
●非営利団体=車両250ドル・フロート400ドル●企業スポンサー付き非営利団体=車両1250ドル・フロート4900ドル●年商100万ドル以下の小企業=車両600ドル・フロート900ドル●企業スポンサー付き小企業=車両2000ドル・フロート5000ドル
なお、年商100万ドル以上の企業はHOPのビジネス担当マネジャーが電話またはEメールで応談。
支払いは小切手、クレジットカード、郵便為替で受け付け。なお、障害者・年配者団体の移動用車両は登録だけで手数料は徴収しません。
【公式ガイドブック】
「2004プライドガイド」と名付けられる公式ガイドブックも重要な広告収入源。全面広告は3000ドル。半ページは1700ドル。最小は8分の1のスペースで500ドル。裏表紙での広告掲載は25%増し。掲載希望ページを指定する場合も20%増し。今年は5月3日が出稿締め切りでした。
広告の図版はすべて300dpiのフルカラー・デジタルファイルで完成品として提出。提出時に広告料金も同時に払い込むことが必須。なお、ガイドに付属する「バー&クラブ・マップ」に掲載されるのは広告出稿の店のみ。ガイドの頒布開始は6月初め。発行数は75000部です。
【マーチ当日】
参加団体のチェックインは当日の朝9時から昼1時までです。マーチのスタートは正午。参加者は30分前に集合が望ましい。また、集合場所の五番街50丁目以北は住宅ビルもあるので午前11時半まで音響スイッチを入れてはいけません。
参加者はHOPが配置するセクションごとの行進指導者の指示に従って行進します。彼らもボランティアで無償で仕事をしているのだから、理不尽に当たったりしないでほしいとHOPは言っています。
【故人を偲ぶピンクリボン】
マーチ当日午後2時からエイズ犠牲者を偲ぶ黙祷「沈黙の瞬間」が行われます。HOPはこのシンボルであるピンクリボンを事前に1個2ドルで配布しています。売上は各種エイズ支援組織に寄付されます。「沈黙の瞬間」に音響をオフにしていなかった団体は翌年のフロート使用を許可されません。
【参加団体のカテゴリー】
①エイズ関連および障害者・親族組織・年配者組織
②スポーツ団体
③バイセクシュアル・トランスジェンダー・政治団体・活動団体・政治家
④ニューヨーク大都市圏および近隣州
⑤その他州および海外団体
⑥レザー・ジーンズ・SM団体
⑦多文化・民族・社交団体
⑧有色人種
⑨専門家組織・労働団体
⑩宗教団体・神秘集団
⑪禁酒・反麻薬組織
⑫大学・演劇・芸術・報道
⑬女性のみの組織
⑭未成年・LGBTの親の団体
なお、マーチの行進順は毎年入れ替えるものの、女性団体・有色人種団体・エイズ関連団体・障害者団体・年長者団体は常に変わらずマーチの先頭部分で歩きます。
【表彰】
今年のテーマ「STAND UP, STAND OUT, STAND PROUD(立ち上がれ、公然と、堂々と、誇りを持って)」にふさわしい趣向を凝らしたマーチの参加団体を表彰。審判席はマーチ中間点の24丁目に設置。
【マーチで守るべき事柄】
・参加者による募金集めはニューヨーク市の条例で全面禁止。
・下半身のヌードは違法。
・マーチでの沿道への配布物(パンフレットや物品)は事前にHOPに見本を届け許可を得ること。また安全上、フロート車両からはいかなる物も投げてはいけません。
・参加団体の代表者は責任の所在を明示するために主催者配給の代表者Tシャツを着用します。
・車両は1団体につき2台まで。なお、長さ10m50以上の車両フロートはビレッジの狭い角を曲がれないので使用禁止。高さは最高4m20、車幅も4m80を越えないこと。
・フロートだけではなく車両にも各団体の負担と責任でプライドマーチにふさわしい装飾およびメッセージを施さなければなりません。
・フロートおよび車両上では飲酒や違法な薬物はとってはいけません。違反が明らかになった場合は即座にマーチから排除されます。登録料は返還されません。
・ペットを連れて歩くのはアスファルトも熱く、乗馬行進にしても馬がかわいそうなのでやめましょう、ということです。